いつだってあの夏の日を振り返って、忘れないように記憶に焼き付けて。
──────────燈真なら大丈夫。孤独を、独りぼっちを変えられた燈真なら、きっと。
僕なら大丈夫。先輩たちがいる限り、忘れてしまったあの子がいる限り、少しでも前を向けた僕なら、きっと。
空から視線を逸らし、ゆっくりと足を動かした。
炎天下の下、揺らぐ陽炎の中を、鳴き止むことを知らない蝉の中を。
ふと立ち止まって、もう一度振り返る。
生きることを諦めていた僕は、もういない。
臆病だった僕はきっと、少しでも変われたはずだ。
滲む視界を振り切って、また歩き出す。
何度だって想い描こう。
あの夏を生きた瞬間を、忘れてしまった君のことを。
乾いたような色をしたあの夏の空に、君と出逢う世界を何度だって。
君がくれた"今"を生きながら、君と出逢う"世界"を何度でも。
君が残したメッセージを抱きしめて、消えてしまわないように、何度でも、思い描こう。
『Give、my heart……』
…意味は、「ぼくの心臓をあげる」
『ロンリー デイズ』