再び歩きだそうとしたその時─────────
「うわぁーー!!!」
という叫び声が聞こえた。
一瞬「え?」と思ったけれど、道行く通行人はなんの反応も示していなかった。
「あ、遅刻する」
これから迷いながら学校まで辿り着く時間と自分の体力を考えると遅刻ギリギリだ。
僕はイヤホンを耳にあて、少し足を速めた。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「はぁ……僕は何をやってるんだ…」
わざわざ学校に欠席の連絡を入れてまで来る必要はなかったのでは?
そう思うけれど、気になって仕方がなかったからしょうがない。
先程の叫び声が聞こえてきた所を勘で探す。
念の為イヤホンは仕舞い、暑い空の下を必死になって探していた。
それを探すこと数十分。
なんだか馬鹿らしく思えてきた僕は、諦めようとタオルで汗を拭った時───────
「えっ、なにあれ」
道路の真ん中に見えた影。
いや、有り得ないだろうとありもしない妄想を掻き消した。