「だよな?心にぽっかり穴が空いたというか」

「そうそれ!なんていうか、5人だけじゃなくてもう1人いたような気がしてならないよね」



これもみんな、感じていたことだった。

ふとした時に訪れる沈黙が、まるで誰かが話すのを待っているかのような雰囲気なんだ。

だからみんな唐突に口を閉じるし、物足りない気がしてならない。



「なんなんだろうね、この気持ち…」



これがなんなのか、全く記憶にないのだ。

今僕は耳にピアスをひとつだけ付けているけど、このピアスも自分で買った覚えがないのだ。

お母さんたちに聞いても知らないと言うし、それは先輩たちも同じだった。

それなら外せばいいじゃないかと、お父さんに言われたけれどそれも嫌で。


これを付けていると何故か安心して、泣きたくなってしまう。


あの筆記体のようなものがぶら下がったネックレスも、スケッチブックに描いた覚えのないあの絵も。

あの英単語もあの言葉も。

視えない何かが僕を苦しめて、安心感を与えようとする。

今の僕たちには、それが不思議でならなかった。