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『……心臓移植、やります』
そう言って数日が過ぎた今日。日程も決まり、先生たちは慌ただしい様子だ。
お母さんたちともちゃんと向き合って、先輩たちにもその事を伝えた。
9月のスタートを告げて数日、各々が通っている学校へと嫌々ながら登校しているみたいだ。
伊緒のことも、ちゃんと話した。
一華先輩はボロ泣きしてたけど、星奈先輩たちも若干涙目だったのを今でも思い出す。
入院中だった伊緒の病室も入れなくなっているみたいで、生きているのかすら分からない。
伊緒が姿を消したのは、自分の身体に戻ったからなのではと思っている。
……そう、思いたい。
伊緒から貰ったネックレスをふと手に取り、心臓の近くに当ててみる。
これが僕の、生まれ持った心臓。
生きるのを諦めていた僕を、必死に生かしてくれていた僕の心臓。
そして次に目を開けた時には、新しい心臓になっているのだろう。