別に欲しいわけじゃなかったけれど、担当医の先生があった方が何かあった時に使えるし、年頃だから、だと。


でも、あまり使わせてはもらえない。


だから特別欲しかったわけではない。

まぁでも、音楽を聴くのに使っている。

友だちや彼女の連絡先は当然入っていない。

登録されているのはお母さんとお父さんのみ。

おかげで公式の連絡先が増える一方。

なにをやっているんだか、自分でも笑える。

別に今死んだって悔いはないし未練もない。



「……早く死ねばいいのに」



なんて言っても、飽きもせずに月夜は廻る。

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「無理は禁物だからね。あと、運動もだめだよ。分かった?」

「はい。……失礼します。」



そう先生に頭を下げてから病院を出た。

そんなん言うんだったら行かせなきゃいいのに。



『行ってみない?』



とか何とか言ってきたのはそっちでしょ。

そうぶつぶつ言いながら、学校までの道程を迷いながら歩く。

その時、



「うぉ…っ」



向こう側から走ってきた小さい女の子とぶつかってしまった。



「あ、ごめんね、大丈夫?」



受け止めるような形になったから、多分大丈夫ではあると思うけど。