そんな燈真に、大丈夫という笑みを浮かべてドアを開けた。

キィ…─────────と不気味な音を立てながら閉まったドア。

鍵が空いていたから、閉まってたら諦めようと思っていたんだけど。


ゆっくりと足を踏み入れると、床が軋んだ。


今日ここに来た理由は、ある物を取りに来たのと、父親へお願いをしに来たのだ。

とりあえず自室へ向かおうとしていたその時だった。



「…パパ…?」



まだ幼い子供のような、そんな声が父親の部屋から聞こえた。


え、パパ……?


その単語に、驚かないわけがなかった。

そっとその部屋を覗くと、小さな子が1人と、女の人が隣に眠っていた。


年少さんくらいの子だろうか。


目が覚めたらしく、隣に寝ていたはずだったのか父親を探していた。

信じられない光景に、ただ驚くしかなくて、その子が近ずいて来ていることに気が付かなった。

一瞬違う人が住んでんのかと思ったけど、ドアノブの所に掛けられた表札に「如月」と書かれていたので、多分あってる。