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身体が動くといっても、何年も寝ていたぼくにとっては数歩歩くだけでも息切れがしてしまう。
「やばい…助ける前に死んじゃう…… 」
真夜中の道は怖く感じるけれど、上を見上げれば星が見える。
少し冷たい空気が肌を撫でるのも、ちゃんと地面を歩いているのも、全身で感じられて安心感が湧く。
でも時間は1日と言っても、バレるのも時間の問題だ。
それに、これからどうすればいいんだ。
そう途方に暮れようとしていた時、
「あの……」
という控えめな声が、後ろから聞こえた。
一瞬驚いて肩が跳ね上がったけど、振り向かなくても誰の声だか分かってしまった。
「…伊緒、だよね」
そう言われ、違いますと言葉にしようともできるはずがなかったので、諦めて振り向いてしまった。
「なにしてんの。てか何その格好」
「あ、えーと……幽霊だって着替えくらいしたい、なぁなんて」
今ぼくが身に纏っているのはジャージだ。
