ピッピッ──────────という無機質な機械音が耳に響く。
それから独特な消毒液の匂いが鼻腔を掠めた。
それらがなんとも不愉快で、眉間に皺が寄っていく。
そんなことをしていると、突然ハッとしたかのような感覚になり、目を見開いた。
視界に映るのは、白い天井。
少し顔を横に向けると、何やら機械のようなものと白いカーテンが目に入った。
もしかして、戻って、来た…?
ゆっくりと上体を起こすと、いろんな機械に繋がれていたことが目に見えて分かった。
『時間は1日。1分でも時間を過ぎてしまうと、彼は定められた通り死んでしまうよ。』
あぁ、いや、こんなことをしている場合ではない。
3年も眠っていたというのに、身体は意外と動く。
でもこれは、兄がちょっと助けてくれたのかもしれない。
待てよ、兄ちゃんって結構お偉いさん…?
自分の身体に繋げられた機会を外しながら、そんなことを考えた。
恐らく時間は夜中の1時頃だろう。
今外に出ても、お医者さんに見つからなさそうだ。
そう思ったぼくは、この前燈真と通った階段を下り、裏道から病院を出た。
そんな姿を、誰かに見られていたとは知らずに。
