⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「…おかえり」
「うん。ただいま」
ドアを開けると、ベッドに座っていた燈真がお出迎えしてくれた。
当然のようにパイプ椅子に座り、沈黙が流れる。もう夕方だ。
「……燈真も、ぼくと会ったことあるよね。」
だいぶ昔だけど。
「うん。あるね。白いたんぽぽあげた」
覚えてて、くれたんだ。
それが嬉しくて、ついつい頬が緩んでしまう。
「ずっと気になってたんだけどさ、そのたんぽぽの花言葉ってなんだっけ?」
「…花言葉は、『私を探して。』」
あぁ、そんなことを言っていたような気がする。
燈真と会ったのは、この病院の近くにある河川敷。
そこにいたぼくに燈真が声をかけてくれたんだった。
泣いてるぼくに、白いたんぽぽをくれて。
世界の隅っこで泣いているぼくを、燈真が見つけてくれたんだ。
