風と混ざって聞こえてくる夏の音。

日差しを照りつけたアスファルトが熱い熱気を漂わせている。

どこを見ても陽炎が揺れていて、蝉の声は止むことを知らない。

毎日が晴天で、病室の窓から見える空に浮かぶ入道雲を見ていた。


昔っから、憧れている夏の世界。



「持って、あと4ヶ月程でしょう。」



──────それに不釣り合いな、僕の余命。

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早瀬 燈真(はやせ とうま) 。16歳。中3。受験生。

先日、余命宣告をされた。

つまりあと、4ヶ月程で僕は死ぬらしい。

頭脳偏差値はそこそこ。顔面偏差値はあえてスルーさせてもらう。

一日中個室に篭もって、やることがないから結局勉強。もしくは絵を描く。

この個室だけには、誰一人としてお見舞いにはやって来ない。


友だちもいないし、彼女もいない。


家族はいるけれど、僕に付きっきりだと弟もいるし、そういう理由で来なくていいと断っている。


スマホを買ってくれたのは去年の秋頃。