「どっ、どういうこと…!?この人が、伊緒って…」
「え、優真知ってんの!?」
「知ってるも何も…っ…この人、妹が事故に遭いかけた時に庇ってくれた………本当に、伊緒、なの?」
「うん、そう。ぼく。…ちゃんと思い出したよ。妹ちゃん、突き飛ばしちゃったけど大丈夫だったかな。」
そう聞くぼくに、優真は涙目で言葉を発する。
「なんで…っ。おれがあの時、妹といればこんなことにはならなかったのに……ごめん、なさい…なんの罪もない伊緒の人生をっ、奪ってしまって…っ」
遂には蹲って、顔を伏せながら涙を流す優真。
そんなぼく達の会話を、星奈たちは黙って見守るようにして見つめていた。
どうしてみんな、泣いちゃうのかな。
ぼくは泣かせたかったんじゃないんだけどな…。
いつまでも泣き止まない優真の前に、ぼくも同じようにして膝を抱えた。
「ねぇ、優真。ぼくはその日、死のうと思って海に行こうとしたんだ。深い海の底で、誰にも見つからないような場所で。…歩いてた時不意に目に映ったのが、小さい女の子で。それが優真の妹ちゃんだったんだ。」
1人でベンチに座って、最初は迷子なのかなと思っていた。
