それもそのはず。殴る時顔だけは避けて、見えないところを狙ってくるから。
服も数着しか持っていなかったけど、その数着が立派なもので周りからは可愛がられていると思われてたみたいだ。
風呂入る時間もなかったから、多分臭かったと思うけど。
「まぁ中学生に上がっても、顔触れは変わらないからいじめられるのも目に見えて分かってた」
そこでまたしても口を閉じ、深呼吸をしてから口を開く。
これは、もしかしたら星奈たちを傷つけてしまうことになるかもしれない。
「星奈たちもさ、動画撮られてる女の子の話、したよね」
それでも言おうと思ったのは、ぼくのことを知って欲しかったから。
傷つけたいんじゃなくて、僕を見てほしかったから。
「え?うん…」
「……もしかして…っ!」
察しのいい星奈は信じられないと言いたげな顔をし、そんな星奈に静かに頷く。
「そう。あれも、ぼく。」
口に出してそう言うと、一華も目を見開いた。
「あの日は、クラスの集まりでカラオケに来てたんだよね」
先生も一緒だったから、来るなと言われていたぼくも手を引かれて連れていかれた。
まぁ、クラスでカラオケなんて楽しくなかった。
