それで自分を守っている気で、本当は騙していた。
まぁぼくだって少しくらい自由が欲しくて、父親が仕事に出かけてる間にお風呂に入って、タンスの中に隠してあるお金を1日千円ずつ取って。
それもバレてしまって、1週間も続かなかったけど。
「いや、よく生きてたと思うよ。」
本当に。バレてしまった日は殴られ蹴られは当たり前で、酒を片手に、もう片方には煙草をもって暴れまくってた。
吸殻に押し付けるはずの煙草をぼくの背中に押し付けたり、髪の毛を引っ張られながら連れてかれた場所はお風呂場で、浴槽に溜まった生温い水の中に顔を押し付けられ。
抵抗も虚しくされるがまま。
でもお金は服代とその他諸々に使ってしまって、返せと言われても返す方法がなかった。
「絡まれたのはそれから少し日が経った後だったかな。お金はもう全部使ってしまって所持金ゼロ。」
その不良たちはそのことを知ると、肩を突き飛ばして興味無さそうに帰っていったけど。
不良っているんだね。って思ったわ。
「あの父親、外面だけは良くて中学にも上がらせてもらったよ」
近所からは「いいお父さん」で通ってたみたい。
