あの日以来、誰も秘密基地に来ないから。
燈真が少し前に少しだけ言ってくれた本心。
『その中に、僕も入ってるといいな…なんて』
寂しそうな顔をして、一体どういう気持ちで言ったのだろう。
ねぇ、君はどんな未来を想像してる?
「…大丈夫だよ、燈真。またみんなで、一緒にいる未来を想像してて。」
たとえそこにぼくがいなくても、君が笑っていられる未来を。
そんなこんなで30分程経っただろうか。
燈真が起きる気配はなく、もうそろそろ行こうかなと立ち上がったその瞬間だった。
ドアの方から何やら騒がしい足音が聞こえ、気になってとりあえず部屋を出ることにした。
ドアを開けると、その奥にあった光景は、ここからだいぶ離れた端っこの部屋を、出入りしているお医者さんたちが忙しそうに動き回っているところだった。
対して興味も持てなかったので、それを横目に流しながら優たちのところに行こうとしていたところ、
「…あれ、優真?」
その人ごみの中に、見覚えのある姿を見た気がした。
少し予定を変更して、その人ごみの中に足を進める。
「ちょっとすいません!そこ通ります!」
「え、あ、あぁ、すみません」
なんて僕に言っているわけがないのに、そんな返事を返しながら個室へと近付いていく。
