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「……燈真」
「…伊緒」
今日はずっと朝から雨が降っていた。
床も滑りやすくて、危うく転けるところだったついさっき。
「突っ立ってないで、ここ座れば」
そう言われ、ベッドに座る燈真に恐る恐る足を進める。
あの一件から少し日が経った今日。
優は強制的に家に帰り、優真も他のみんなも各々自分の家へと帰っていった。
それからというもの、話すどころか誰とも会うことは無く。
あの秘密基地で過ごしてたけど、誰一人として姿を現す日は無かった。
元いた病院へ戻ってきた燈真に、すぐにでも会いに行きたかったけど、合わせる顔がなくて。
会いに行く口実を探しても、何も見つからなくて。
「…体調は、どう?」
「大丈夫。みんなは」
直接そう聞かれ、言葉に詰まったぼくは俯くことしか出来なかった。
「…そ、か。僕のせいだよね、ごめん」
「え、あ、や、それはっ、違うから!」
悲しそうな顔をして謝る燈真の顔の前に手を翳し、それは断じて違うと示してみせる。
