そんな優も、星奈も一華も、悔しそうな顔をして下唇を噛み締めていた。
そんなぼくたちに追い討ちをかけるかのような、小馬鹿にしたような口調でこの人は言放った。
「人間、諦めも必要だって高校生なら分かるだろう?」
ブチッと、自分の中で何かが切れた音がした。
「子供だから」「高校生だから」って……もうほんとに、これだから大人は嫌いなんだ。
「燈真も、生きたいって言ってたのに…幸せだって、言ってくれたのに…っ!」
この先、生きるのを諦めてた燈真が、やっと生きたいと思ってくれたのに。
『最近楽しいなってよく思えるようになって。なんかこう、幸せだなと、感じる、んです。』
『最近は、すごく生きたいと思ってしまう』
あの時、少しだけみんなに微笑みかけてくれたあの笑顔も、燈真の命も、燈真の思いも、全部奪うんだ?
「たっ…た一人の人間が。お前みたいな人間が、」
もう怒りを通り越して、笑いそうになってしまう。
でも確かに、頬を伝うこの涙は生温かかった。
「なんで……なんで?なんでお前が諦めてんの?なんでだよ…っ」
この声が伝わらないのが悔しくて、テーブルの上に置いてあったカルテのようなものを思いっきり振り落とした。
