「ん?」
優たちから一度視線を外し、燈真を見やる。
暗いから少し分かりにくいけど、燈真のチョコ色に染まった髪が揺れた。
「……線香花火、したい」
そんな燈真の御要望で、することになったのはいいけど。
線香花火、もうやっちゃっていいの?
なんてことを考えていると、線香花火を持って屈んでいる燈真が口を開いた。
「ドラマとかでよくあるやつ。負けた方が勝った方のお願いひとつ聞く」
「え、やんの?」
「やりたい。憧れがある」
パッと顔を上げた燈真と目が合い、どうやら相当憧れがあるみたいで瞳がキラキラしていた。
早くやりたいと、はしゃぎはしないけどそんな姿が駄々をこねる小さな子供のようで可愛かった。
いくよ、と燈真が言うと同時にライターで花火の先端に火を付ける。
すると、バチバチと火花が散り始めた。
