まぁ中3だし。受験生だし。思春期だし反抗期だし?

いやそれは関係あるのかわかんないけど、まぁ、中3だし?



「じゃ、お借りします」

「どうぞ〜」



バタン────────とリビングのドアが閉まった。

燈真が去っていく後ろ姿をみんなで眺めていると、その姿が見えなくなった途端に優真が口を開いた。



「ちぇ、つまんな〜い」

「まぁ、中3だし。なんか抵抗があったんじゃね?」

「あ、そういえば」



一瞬の沈黙の後、一華がハッとしたかのような声を出した。

それになんだなんだと視線が集まる。



「優真くん、昨日自分のこと話してなかったなって……」

「あ〜、確かに。自分たちのことばっか喋ってたけど、優真の話聞いてなーい」



一華に集まっていた視線が、今度は優真に注がれる。

それに対して優真はいつものニコニコ笑顔だったけど、その中に少し焦りが見えたような気もした。


優もフォローを入れたりして、それがあからさまというか不自然だったため、「なんかあるな」とぼくは悟ってしまった。


その時は「ふーん」で星奈が済ませていたけど、きっと気づいている。


それにほっとした優真の秘密を知るのは、まだ少し後のこと。