…だれ。君は、だれ……?
あの声が、あの笑みが、指切りをした時に感じたあの僅かな温もりが。
あの瞬間に感じた全てが、誰かに似ているような気がした。
痛みに細めていた目を開くと、まるで今のぼくを心配しているかのようなたんぽぽが目の前にあった。
たんぽぽ…。
そうだ、あの子がくれたのはこのたんぽぽだ。
真っ白な、汚れを知らない綺麗なたんぽぽ。
確か、花言葉もあったような……。
同じたんぽぽでも、色が違えば花言葉も違ってくるって言ってた気がする。
だけどそこまではどうしても思い出すことが出来ず、一旦諦めて途中だった洗濯物を家の中へと取り込んだ。
⋆ ・⋆
「わ、以外と似合ってんじゃ〜ん」
晩ご飯も無事食べ終え、やらないといけないこともやってしまった午後21時。
星奈と一華は、髪を染めてお風呂から戻って来た。
「金髪ヤンキーかよ」
「はぁ?あんたも同じ色してんじゃん」
「一華も茶髪似合ってるよ〜。やっぱそれにして良かったね」
「そうかな…ありがとう」
星奈は明るめの金髪、一華はビターチョコレートのような髪色だった。