「うぅ〜っ、やばい声良すぎ…」
「男の人なのにすっごい声可愛いよね」
小声で話す星奈たちは仲良さげ。
そんな2人を見て、ちょっと気分が沈むのはきっと気のせいだ。
2人は昔からの友人だし。
ぼくなんかが入る隙なんてない。況してや幽霊だ。あたりまえ体操。
「ちょ、伊緒も見てよ…!」
「…えっ」
「ってどこにいるのかわかんないけど…ちょっとこれは鼻血案件よ」
「え、い、いいの?」
たった今の事だったから、ちょっと戸惑いが隠せずにいると、一華も口を開いた。
「いいのって、友だちだから当たり前でしょ?」
それはあまりにも、今のぼくには狡い言葉に聞こえてしまった。
友だちだと、だから当たり前だと、そう言って本当にそれが当たり前のような顔をするから。