じゃんけんが弱い優は、後頭部を軽く掻いた。

まぁ、どんまいとしか言いようがないよな。

優はもう一度深いため息を吐くと、口を開いた。



「うーん、塾の帰りだったかな。家に帰りたくなくてさ、遠回りして帰ろうと思って。でも遠回りするとなると人気のないとこ通んないとでさ」



な?、と優が目線を向けた先には優真がいた。

優真もその道を知っているのか、軽く頷いていた。



「えっと…で、ちょっと、ケンカしてるところを目撃してしまいまして」

「え、ケンカ?」

「んーなんか、何人か不良みたいな人たちがいてさ。その中に、明らか不良じゃない人がいて絡まれてるっぽかったんだよね」



不良……怖。

優自身も疎覚えなのか、首を傾げながら続きを口にする。



「関わりたくなかったからそん時は踵返したけど、でも、ちょっと後悔してる。」



眉を八の字に下げ、どこか悔しそうな顔をした優は目を伏せた。

でも、うん。優の気持ち、何となくわかる気がする。

今まで黙って聞いていた星奈たちも、「そっか…」と、口を開き始めた。