風と混ざって聞こえてくる夏の音。
日差しを照りつけたアスファルトが熱い熱気を漂わせている。
どこを見ても陽炎が揺れていて、蝉の声は止むことを知らない。
毎日が晴天で、教室の窓から見える空に浮かぶ入道雲を見ていた。
昔っから、痩せたいのに太らせようとする夏の世界。
「また今日もぼっちだよ」
「あの顔であの三つ編みはヤバすぎる」
「草しか生えんわ」
七瀬 一華(ななせ いちか)。17歳。地味だとよく目に付けられる高校2年生。
人の悪口を言う人。
あの顔はヤバいと基本気に食わない人達に使う人。
そしてネット用語を使って叩く人。
今はそんな、汚いもので溢れかえっている。
けれど私には親友と呼べる親友がいるのだ。
小学生の時からずっと一緒で、私の悪口を言おうもんならすぐに怒って泣いてくれる人。
中学生になってくるとグループで分かれたり、1人がこうしようと言うとそうしようと乗る人。