「……ねむ」
「何言ってんのよ」
欠伸をしながら冷蔵庫を開ける優の背中を、星奈が勢いよく叩いた。
いい音したよ今。
「いって!!」
どうやら今ので目が覚めたらしく、キッチンでは口論が繰り広げられていた。
「飽きないね〜。優って昔からそうだったの?」
テレビの前にあるソファに座っていたぼくは、つい先程洗面所から戻ってきた優真に声をかけた。
序に言うと燈真は薬を探しに部屋へ行き、一華は優真と入れ替わりで洗面所にいる。
「いや、全然だよ?」
自分の顔の前で手を振ってみせる優真に、少しだけ目を丸くした。
「まずぼっちだったから。おれが行かないとめちゃめちゃ寂しがってたよ〜」
と言いながら、懐かしそうに笑う優真。
あ、そういえばそうだった。
ぼくもたった今、優のお母さんたちが厳しかったのを思い出した。
そういえば、あの時足を引っ掛けてしまったが大丈夫だろうか。
割ってしまったやつも。
あぁ、思い出したらすごい罪悪感が……。
そんなよからぬ感情たちを、頭を振って遠ざけた。
