確かに、そういえばそうだ。



「男の子とケンカになったよね?」

「あぁ〜!なんか思い出したわ」

「だよね?星奈なんか男の子に飛びついたりして。」

「確かわたし泣かせてたよね?」

「そうそう!私も涙目になってさ〜」



2人の笑い声が2人だけの秘密基地に響く。

いつまでもずっと、このままで居られたらどれだけ良かったのだろう。

笑っているけれど、わたしたちの中にいる冷静な自分が問いかける。


本当にこれでいいのかと。


お互いを傷つけてまで、こんな事をするのかと。

きっと、今わたしたちが考えていることは一緒だ。

笑っているけど、心のどこかでは泣きたいと、そう思っている自分がいた。



「あ〜!誰かいるよ!」

「はぁ?誰がこんなとこに……」



そんな声が聞こえ、驚きながらも一華と振り返った。

外から入ってくる光で顔が見えなかったけれど、近ずいてくる度にはっきりと見える。



「まさか…!」



向こうもどうやら同じらしい。

みんなで目を見開いて、お互いを人差し指で差す。

暑くて長いわたしたちの夏が、始まろうとしていた─────。