そんなぼくに出来ることはないかと考えたけれど、何も無い事に気付かされるだけだった。

なんにもない真っ白な世界を歩くこと数十分。

それから沈黙が続いたのに数分。

ぼくたちの不揃いな足音だけが、耳に届く。



「……ぼくは、どうしたら記憶を消せますか?ぼくは、いらないです。消したいです。

ぼくよ存在自体を、全部」



ずっと、思ってたこと。

それを口にした瞬間、心が軽くなった気がした。

ずっと言えなかった。

死にたいだなんて、生きたくても生きられない人だっているんだから。

死にたいだなんて、子供のくせに何を言っているの?

そう、言われたことがあるから。

そんなの分かってる。分かってるけど……。



「…そう、僕はそのために来たんです。あなたの記憶を消してしまうために。そのために、あなたをお呼びしました。」

「そう、だったんですね」