なんだかすごく勿体ない気がするのはぼくだけだろうか。



「え、と、そ、それで?」



誰かに褒められたのは初めてに等しくて、気恥ずかしくなって半ば強引に話を戻した。



「はい。それから高校に入学して、仲のいい男の子の友達もできて、バイトをしてそのお金でアパートを借りて。社会人になったら妹を探すつもりでした。

当時は母親から解放されて、幸せまで感じました。それから無事に高校3年生に進学してすぐでした。体調が悪いのが続いて、病院に行ったんです。

そしたら、脳に悪性の腫瘍があることが分かったんです。手術するにも難しいところにあって、見つかった時にはもう手遅れでした。」



さっきとは打って変わって、すごく苦しそうな表情をする天使さん。

さっき出逢った時よりも、頭の上に浮いている輪っかの色が少しだけ、落ちた気がした。



「すごく悔しくて。だけど、病気のことは誰にも言えなかった。だから、離れる決意をしたんです。

誰も傷つけないように、誰も傷つかないように。当時告白されてなんとなく付き合っていた恋人には別れを告げて泣かせてしまって、友達には呆れられて。結局傷つけてしまったけど…。

そしてまた、独りになった。余命宣告も受けて、僕はその宣告通り死ぬことになった。という僕のお話です。どうです?」



どうです?って…。