運命のあの人は




楓くんは少し困ったような顔をした。



でもそんなこと気にしてる余裕なんてなかった





もう一生はなさない。この抱きついた身体を。





はなさない、いや、はなせないとおもった。





「よかった。よかったよぉ、、」






「ほんとに、よかったよぉ」







「ねぇ、もしかして僕が目覚めたの嬉しいって思ってくれてる?」




すこし頰を赤らめながら楓くんは言った。






私は泣きながら言う。




「あたりまえじゃんそんなの!!!!」




今きっと私の顔は涙でぐちゃぐちゃになってる。こんな私を見たら幻滅するかな。





顔を見せたくなくて楓くんの肩に顔を埋める。







「ねぇ、目覚めてそうそう僕のこと誘ってるの??」





「んぇ、?」




なにいってんだ楓くん。1ヶ月も眠ってたからちょっと頭がおかしくなってるのかな。












「あ、そういえば楓くん、なんで私のこと守ってくれたの?私たち会ったことないよね?」






ずっと気になっていたことをきいてみた。









「あーぁ、僕のこと覚えてないよなぁやっぱり」



小声で楓くんが何か言ったけど聞き取れなかった。




「ん?今なんて言った?」




「んーん、僕ね、ずーっと君のこと好きだったんだ。だから守ったの。」




なんだか嬉しかった。でもいつ好きになったのかとかそんな詳しいことはいくらきいてもおしえてくれなかった。


まだ病みあがりだし質問攻めもよくない。



とりあえず看護師さんを呼びに行った。