「おい、こいつ、誰?」



口から飛び出したのは、思っていたよりも低い声。



きりりと、夕凪と一緒にいる奴が俺を睨む。




「俺は、采明 啓斗。夕凪と飯食ってたんだけど、悪い?」



夕凪と一緒にいた奴が口を挟み、夕凪の手を引いて食堂を出ていった。



······手、握ってた。



思わず追いかけて行こうとすると、どこからかやって来た結城に引き留められた。



「待って、清水くん」



いつものふわふわした結城とは想像できないほど真剣な表情をしている。




「夕凪は今日、絢斗と帰るよ」



「あいつと夕凪、どういう関係?」



「清水くん。

清水くんがホントに夕凪を好きなのは知ってる。 

でも、その気持ちを夕凪に見せてきた?

伝えてきた?

····放課後まで、じっくり考えてみて」



「······おう·····」



それしか、言えなかった。