手代木様の一件から、普通のお客様が増えてきている。
時々、お母さんの柏木様とご来店される。手代木様は、お母さんの姓を名乗り、柏木 彩になったと笑顔で教えてくれた。

それと、変わった事と言えば、、、

「先生、施術入りまーす❤」

「はい、よろしく!」

瞳ちゃんが、足ツボデビューした事だ。本人はフットリラクゼーションと呼んでいる。
瞳ちゃん目当てのヲタクぽい人や、オジサンが多いが、害は無さそうだし売上もあがってるからいいか。

瞳ちゃんのおかげで売上が、向上している。

「ありがとうございました~。またいらして下さ〜い。」

なんだかんだ言って、今日はもう2人もこなしている、これじゃーどっちが手伝いかわからないな。

「瞳ちゃん、どう?足ツボは?」

「フットリラクゼーションです!」
「先生の教え方も良かったし、お顔見て話しながら、施術するので楽しいですよ!」

「変なお客様いない?」

「変て?」

「エッチな事してきたりさ〜」

「先生、お客様の事、そんな風に言ってはダメですよ!お客様は、神様なんですから。」

「なんか、古い歌手のセリフみたいだな。」

「そうなんですか?」

「うん、親の世代の歌手らしいよ。」

☎ジリジリリリーン☎

電話が鳴る。出張整体の依頼だ。

「これからですね?すぐお伺いします!」

「瞳ちゃん、出張整体の依頼がきたから、行ってくるね。留守、よろしく!」

「先生、ようやく仕事できますね?」

「瞳ちゃん、一言よけい。」

「エヘッ❤ 冗談です。頑張ってくださいね。行ってらっしゃ~い❤」

僕は、ちょっとムッとしたが、瞳ちゃんのこの笑顔に弱い。
顔をゆるませながら、出張にでかける。


~数日後~


あれから、度々 出張整体の依頼が増えた。心霊施術じゃなくて 普通の整体の依頼があるのは、嬉しい事だ。 まあ、お店で施術できれば、一番いいんだけど 足の不自由な方や免許のない年配の方だから、ご意向に沿いたい。
ある日、出張整体から帰ってきた時の事だ。

「ただいま。」

「あっ、先生おかえりなさい。」

「お客様いらしたんだね。そのまま施術して。」

そう言い、料金を納めながら、受付に座り 瞳ちゃんの施術を観察する。
そろそろ慣れてくる頃だ。慣れてくるとミスも多い 後で指導するためにもしっかり見ておかないと。
(ん?)なんか様子が変だ。 瞳ちゃんが困ってるようにも見える。
お客様を見ると、遊び人風というか、チャラい。 お客様に対して失礼とも言えるが、こういった
お客様が多いと女性のお客様が、来なくなる。  (いかん いかん。)差別はよくないな。

「ヒッヒヒヒヒ。」

何とも、嫌らしい笑い方だな~ そう思っていると、店に置いておいた水晶鬼が赤く点滅している。
(何だろう?)
手に取ってみると ”危険” ”警告” と浮かぶ。 あきらかにお客様に対してだ。

「ありがとうございました。」

施術終了か、瞳ちゃんのいつもの元気がないなと思ったら、洗面所で吐いているようだ。

「瞳ちゃん、どうしたの?」

「先生~。」

瞳ちゃんが、霊障を受けている。

「瞳ちゃん、こっち来て。」

僕は、水晶鬼を使って、瞳ちゃんの身体を浄化した。  酷いものじゃないが、嫌らしい感じがする。

「瞳ちゃん、なにがあったの?」

レイトさんは、私の顔を心配そうに除いてくる。そんなレイトさんの顔を見たらホッとして一部始終
あった事を話す。

「先生が出張整体に行くようになってから、来店されるようになったんですけど。
 見た目もチャラくて、苦手なタイプではあったんです。でもお客様に そんな事言っちゃダメだなと思   
 って頑張って施術したら 喜んでくれて良かったな~と思ってたら、先生が出張の時に限っていらして 
 るんです。だんだん 私の事、ねほりはほり聞いて来るようになって、嫌だから断ろうかな?と思った 
 ら、咽てしまい気分も悪くなって、ふと顔を見たら、イタチのような顔に視えて、背後もモヤモヤし
 て、吐いてしまったんです。」

瞳ちゃんは、本当に嫌な思いをしたようだ。水晶鬼で浄化してなかったら、今頃 気絶していただろう。

「早く、言ってくれればよかったのに。」

「ごめんなさい。私の勘違いかと思って、でも今日 勘違いでなかったとわかったんです。
 私、先生が帰って来るのが遅かったら、どうなっていたか? 先生、彼は憑依されてるんですか?」

僕自身は、心霊施術をしないと霊視はできない。  水晶鬼を使って視る事にした。
 
「これは獣付きだ。」

「獣付き?」

「ああ、イタチのような見かけだけど、人間のズル賢さももっている。 言うなれば妖怪と言ってもい 
 い。」

「妖怪ですか? 先生、心霊施術できますか?」

僕は、ちょっと考えこんだ。瞳ちゃんを救わないと。

「彼が瞳ちゃんを指名するだろうし、どこかで見てて 僕がいな居ない時を見計らってやってくるだろ
 う?」

「そんな、私どうすれば?」

「大丈夫、僕に考えがある。」

「でも先生、心霊施術できないですよ。それに、相手が妖怪じゃ」

「大丈夫だよ、瞳ちゃん。」
「僕には水晶鬼がある。こういった相手にこそ、水晶鬼の本領発揮だ!」

レイトさんは、こういってるけど大丈夫かしら、もちろんレイトさんは信用してるわ。でも、なんか不安。


〜数日後〜


「じゃー、瞳ちゃん、打ち合わせ通りにお願いするね。」

レイトさんは、そう言うが私には不安しかない。
(大丈夫かな~、今日は危険な香りしかしないんだけどな。)
レイトさんは、私を信じての事だろうし、私もレイトさんを信じないと!

「出張整体に言ってきまーす!」

「行ってらっしゃい。」

レイトさんは、いつもより大きな声で出て行く。
レイトさんの考えは、こうだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ここ何日か、見てたんだけど。彼は営業開始時間~閉店時間まで、店の死角になる所で様子をうかが  
 ってるんだ。

「そうなんですか?怖いな~」

「ちなみに、一旦僕が店の外に出て角を曲がったら、彼は店に向かってきたんだ。忘れ物したふりして戻
 ったら僕の顔を見て、逃げるように帰って行ったから、間違いないと思う。」

「ええ~、今度 先生に出張入ったら、間違いなく来るじゃないですか?」

「それが、狙い。」

レイトさんは、子供のように笑いながら話すと、一旦出かけて店を出る。彼が入店したら、裏口からこっそり入って隠れる。
彼が、犯行におよんだら入ってくるという。でもレイトさん喧嘩弱そうだし、仮にもお客様に
手をあげるというのは、いかがなものかな~。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

僕が店を出ると、彼は角に立っている。こちらの様子を伺っているようだ。
平静を装って、僕は角を曲がる。彼は行動にうつす。店に入っていったので、急いで入り口に行く
ゆっくりカギを確認すると閉まっている。
(これは、犯行に移るつもりだ。)
静かに裏口に周り、店内に入る。

~店内~

「こんにちは~」

ニヤ付きながら、入店してくる。 ”ガチャリ” 彼はカギを閉める。
(レイトさん、怖いよ~)

「いらっしゃいませ~。」
「今日も、フットリラクゼーションで、よろしいですか?」

「今日は、体のマッサージやってくれる~、疲れてるんだよね~。」

「すみません、私 フットリラクゼーション専門なんで、ボディはできないんですよ。」

「あっ、そうなの?」

何回も説明してるのに、いつも最初に言ってくる。(ウっ) 獣臭がする。
体のマッサージなんていうだけで、嫌らしい感じしかしない。 後のモヤが獣を型どってきている。
本人の顔まで、イタチのような顔つきになってきている。 怖い。

「では、こちらの椅子にお座りください。」

「はい、はいっと。」

「そういえば、お名前は何て言うんでしたっけ?」

「鞍馬大成。」

レイトさんが、いつも聞いてるから、聞いてみたが よくわからない。
獣臭で、押しつぶされそう 口を開いたら吐きだしそうなくらい 気分が悪い
だまったまま、黙々と施術をする。

「ね~、なんか話そうよ~、俺 お客様だよ~。

何か、企んでそうな、嫌らしい話し方だ。

「どこか、お疲れの所 ありますか?」

「足なら、どこでもいいんでしょ~?」

「はい、まあ~。」

「すっげー、疲れてんだけどさ~、真ん中の足やってくんない?」

何を言ってるんだ?顔つきからすると嫌らしい事だとは思うけど。

「えっ?どこですか?それ?」

「かまととぶってんじゃーねーよ。真ん中の足って言ったら、ココだよ!!」

鞍馬大成は、自分の股間を指さす。

「エッ?どういう事ですか?」

「だーかーらー、俺のムスコをしごけって言ってんの? しゃぶってもいいぜ。」

アイツ、瞳ちゃんになんて事、やらせる気なんだ。 監視カメラは作動してるし 証拠はバッチリだ。
今すぐにでも飛び出したいけど、妖怪が姿を現すまで、またないとな。
(瞳ちゃん、がんばれ!)

「すみません、そういったお店じゃないので。」

「うるせーなー、前はしてくれたろ?」

「エッ?してません。」

「タップリとマグわっただろう? 一晩 ㇶ―ㇶ―言ってヨガってただろ~。」

何を言ってんだろう?この人?

「エッ?赤城麗子さんよ~、金も払ったのに 突然いなくなって、名前や服装まで変えてよ。
 こんな所で、ちゃっかり施術師ってやつ? 俺に会っても 初めて会ったような顔しやがって。」

「私、岡崎 瞳って言います!本当です!!」

”ダンッ” 施術椅子を蹴り飛ばし、立ち上がる。

「やかましー、どこまで馬鹿にしやがんだ、コラァァ。 もういい無理やりやってやるよ~。」

アイツ、瞳ちゃんが赤城麗子に憑依されていた時に、関係をもった相手か 厄介だな~
瞳ちゃんは、記憶がないらしいし、実際にしてるんじゃ 相手は引かないな~
瞳ちゃん、もうちょっとだけ辛抱してくれ~

「キャー。」

鞍馬大成は、ナイフを取り出す。(レイトさん、助けて~。)私自身はこんな経験ないから、我慢できそうにない。

「前は、おもいっきり服を破りすてると興奮するって、よろこんだよな~。 こんなのはどうだ。」

「や、やめて~。」

アイツめ、瞳ちゃんの白衣のボタンを一つ一つ 切り飛ばしている。 白衣のスカートまで切り落として
しまった。 瞳ちゃんは下着姿だ、鞍馬大成は瞳ちゃんの下着にナイフを掛けた、切ろうとしている。 瞳ちゃんの顔は涙でグショグショだ。 もう待てない。

「待て!そこまでだ!!」

「先生~。」

レイトさんは、相手がまだ本性を現してないのに、出てきてくれた。
私も限界だったので、正直嬉しかった。 でも大丈夫だろうか?

「なんだテメー?」

「ここの責任者だ!彼女の師匠でもある!」

私は逃げようとしたが、鞍馬に捕まり 首筋にナイフを当てられた。

「よせ!彼女を話せ! なぜ彼女にそんな事をするんだ?」

「こいつは、俺の女だ。毎晩毎晩、逢瀬をかわした。俺たちは愛しあってるんだよ。」

「彼女は君の者ではない。 君の相手をしたのは、彼女じゃない。」

僕は、なんとか話しで落ち着かせ、瞳ちゃんを助けようとした。

「顔もそっくりだ。それにココを見てみろ、俺が愛撫しながら噛んだ痕だ。 この女はそういった
 プレイが好きなんだよ。」

そう言い、鞍馬は瞳ちゃんのブラジャーの肩紐をナイフで切りおとした。
たしかに噛み痕がある、 深く噛んだのだろう。そうそう消えない 噛み痕だ。

「鞍馬くん、聞いてくれ。彼女は岡崎瞳、赤城麗子という霊に取り憑かれていたんだ。だから、彼女であ  
 って彼女じゃないんだ。彼女にも記憶がないんだ。もうやめてくれないか?」
「君も、取り憑かれているんだ。」

「それを信じろっていうのか? フ、フザケルナー!!」

「ヒッ」

私は、おののいてしまった。 もう鞍馬大成の顔じゃない、獣そのもだ。
そして、鞍馬の後ろにはモヤが実現化した二足歩行の獣が立っている、妖怪だ。
驚いたその時だ。

「破ッ!」

レイトさんの掛け声と共に、水晶鬼が光り輝いたとおもったら、光の矢を鞍馬に放つ

「うわあああああああああーーーーーー。」

「グエエエエエエエエエエーーーーーー。」

鞍馬と妖怪の声が、同時に響く。 すると鞍馬の手が緩む、その隙に私は逃げて、レイトさんの影に隠れる。

「瞳ちゃん、決して僕の後ろから離れないで。」

「はい。」

おかしい。僕の予想では、鞍馬が意識を失い 妖怪を退治すればいいはず。
なのに、鞍馬は倒れない、獣の顔のままたっている。

{フッハッハッハッハー、この力はスゲー、なんでもできそうな力に漲っている。}

{クラマヨ、ワレノチカラヲモツモノヨ。ワレ二テヲカセ サスレバモット チカラヲアタエヨウ。}

{いいぜ、まずはこの男を殺して、女をやっちまおう!}

{ヨカロウ}

{世界は、俺たちの思いのままだ! ハッハッハ。}

何て事だ、妖怪に同調してしまっている、というか鞍馬自身が妖怪になったんじゃないのか?

「先生、大丈夫ですか?」

「水晶鬼で抑え込んでいるから、大丈夫! 瞳ちゃん、恥ずかしいと思うけど もう少し我慢して
 水晶鬼の傍かから、離れな方いがいい。」

「はい。」

レイトさんにそう言われて、気付いた。私、下着姿だ、しかも胸が片方肌けてしまっている。
見られたかな~? 脇にあったタオルを取り、身体に巻く。

私は、急いでレイトさんの影に隠れる。

(どうする?まだ二体相手にした事がない。せめて鞍馬が人間のままだったら。)
水晶鬼のパワーを上げて、二体を動けなくする。
瞳ちゃんの顔を見る。凄く不安げだ、僕が瞳ちゃんを守らないと、僕がやられたら瞳ちゃんは酷い事を
される。そしたら今度こそ、瞳ちゃんは立ち直れなくなってしまう。

{どうした?院長さんよ~、俺たち相手に勝てる訳ねえーだろう? おとなしく女を渡せ、そうすりゃ~
 店長さんは、苦しまずに殺してやるぜ~。}

「黙れ!お前には、人の心がないのか? 親や兄弟だっているんだろう?」

{俺に人間の心?あるわけねーだろー。親や兄弟? 俺が殺したよ~、あれこれうるせーからな~。」

こいつは、根っからの外道か、もはや手加減する必要はないか。
こいつらは二体いるから、一体が俺 一体が瞳ちゃんを狙ってくるか、弱い瞳ちゃんを二体同時に狙って
後からゆっくり、俺の始末をしてくるか? 僕はどうなっても構わない、瞳ちゃんを守って
死に物狂いで、奴らを倒す! 例え僕がやられても、瞳ちゃんは救ってみせる!!

{オイ!ニンゲン、トッコウヲスルツモリカ? デキルカ? ナラバ ヤッテミロ。}

{ハッハッハー、特攻だと?玉砕覚悟か? いいぜ~玉砕してやる!}

(クソッ、お見通しか、でも水晶鬼ならできる。)

「瞳ちゃん、目を瞑ってて、終わらせるから。」

「でも先生!それじゃ~先生が、私、私。」

「僕を信じろ! 君は僕が、守る 守ってみせる!」

瞳ちゃんは、泣きながら 黙って目を瞑る。
奴らが攻撃をしてきた! (えっ?) 奴らは同時に僕を狙ってきた。

{ハッハッハッハッハ、女を狙うと思ったろ。 いくらその石でも俺達を同時に倒せまい、片方を倒しても
 もう片方が、お前を討つ。後はゆっくり女を弄り殺す。ゆくゆくは人間界だーーーーーーーーー!!」

クソ、鞍馬なら倒せる、鞍馬の後は妖怪だ! なんとかなる。
そんな、妖怪が前?鞍馬もが。すぐ、どうする? 考える暇はない、水晶鬼よ!

「いけーーー!」

しかし、妖怪は水晶鬼のパワーを受け止める、いや妖怪の攻撃を水晶鬼で受け止めている。

{女~、覚悟しろー}

「うわわわわわわわわわわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

私が目を開けると、鞍馬は凄い形相で、迫ってくる。 先生は水晶鬼に飲み込まれ 鬼化しようとしている。
だめ、鬼化したら 相手を倒せても、先生が鬼になってしまう。

「先生、ダメーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

すると、  ”バンッ” 大きな音と共に、誰かが入ってきた。

「ノウマクサンダ バサラタンカン、、、、、、」

{ギェエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー}

(す、凄い、鞍馬が一瞬で倒される。)

「と、父さん、、。」

「レイト、しっかりしろ! 彼女を守るんだろ? お前が鬼になってどうする?」

瞳ちゃんをみると父さんに助けられていた。

「レイトさ~ん!」

「瞳ちゃん、うおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「水晶鬼よ、俺に力をかしてくれー!!」

水晶鬼の気砲を打ち込み、動けなくなった妖怪を光の剣と化した水晶鬼で、切り込む。

「袈裟切りじゃー!!」

妖怪を切り倒す。妖怪は跡形もなく消えさる。

{グガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」

「はあ はあ、やったのか?」

「大丈夫か、レイト?」

父さんは、五鈷杵を持って、そこにいた。

「父さん、どうしてここに?」

「爺さんがお前の危機だから行けって言うからな。自分はこの前の魔獣を、押さえ込んでいてこれないらしい。」

「だから、お爺ちゃんの声が聞こえないのか。」

この方がレイトさんのお父さん、ダンディーな方だな~ レイトさんを渋めにした感じかな?

「君が、岡崎さんだね?」

「は、はい。」

驚いた、急に声をかけてくるから、びっくりした。

「いつもレイトが、巻き込んですまないね。」

「いえそんな、私は先生に助けられてますから。」

「君は、良い娘さんだ。 それと、私は医者だから、見慣れているが 早く服を着なさい。」
「レイトには、目の毒だ。」

「父さん、何を?」

そうだった、私 下着姿だ、レイトさんのお父さんの前で、恥ずかしい。
はしたない娘だと、思われたかしら。 着替えに奥の部屋にはいる。

「レイト、まだ水晶鬼を使いこなせないか?」

「僕としては、だいぶ使いこなせると思ったんだけど、まだまだだったみたい。」

僕は、かなり落ち込んだ。父さんが来なかったら、瞳ちゃんが どうなっていた事か?

「水晶鬼がお前の元にきたという事は、これから これ以上の経験をまだまだするって事だ。」

「魔獣の次は、妖怪だよ。こんな事がまだ起きるっていうの? まるで漫画やゲームの世界だよ。」

「お前の爺さんは、そのゲームのような世界で毎日戦っていたんだ。」
「私も爺さんに付いて行った事があるが、壮絶だったぞ。 魔妖の物を相手にすると身体的にも怪我が後をたたない
 爺さんだけでなく、周りにいる多勢の人もな、だから私は医者になった。」

「そうだったんだ、お爺ちゃんが嫌いだと思ってた。」

父さんは、申告な面持ちで話しを続けた。

「爺さんの死因はな、魔の物との闘いだ。」

「エッ?」

「爺さん生涯で最強の敵だった。己の人生をかけて倒した 爺さんもかなりの重症だった。
 オペをしたが、魔族の攻撃は医療では治せない、私の力もそこまではない。 爺さんはお前に危険が及ぶのを
 案じていた。日記という形で戦うすべを残した。 お前は未熟だし修行もしていない。爺さんも自分が倒し
 お前をこの道に引き込まないつもりだった。だが、最強の魔族にも子がいたんだ。」

「それが、僕を狙ってるという事?」

「確信はなかったんだが、水晶鬼がお前の元に現れたという事は、間違いないだろう?」

そんな、僕の知っていた事は、半分だったのか。

「でもそれなら、父さんが水晶鬼を使えば、僕よりマシなんじゃ~?」

「前にも言ったが、お前は選ばれたんだ。爺さんも必死で探したが見つからなかった。
 私も爺さんも、選ばれなかったんだ。水晶鬼は、お前を選んだんだ。」

水晶鬼は、なぜ僕をえらんだんだろう? お爺ちゃんでもなくて、父さんでもなくて、なぜ僕を
父さんは、話しを続けた。

「岡崎さんも、巻き込まれている。 水晶鬼を使いこなせるようになれ! 水晶鬼に飲み込まれるな。
 水晶鬼は、生涯 お前の元にある。 岡崎さんを守れ! 自分を守れ!」

「でも、父さん、今 攻撃されたら、勝てないよ。お爺ちゃんも父さんもいない時に、攻め込まれたら
 僕は、どうすればいいんだ!」

「泣き言を言うなレイト!岡崎さんを守れるのは、お前だけだ。それに、魔族はまだ攻めては来ない
 ただ試練はある、心霊施術だけでなく水晶鬼を使う機会は、多々ある。」
「水晶鬼に耳を傾けろ、水晶鬼のメッセージを聞くんだ。それができれば爺さんも守護霊としてお前と
 接する事ができるようになる。」

「父さん、僕 頑張るよ!お爺ちゃんの意思をついでみせるよ。父さんは医者をえらんだように、僕は整体師
 として お爺ちゃんに近ずく 霊能治療師になるよ!」

「お前なら、やれる! では病院に戻るよ。」

そう言って、父さんは病院に戻った。 (父さん、ありがとう!)

「先生~❤ あれ?お父様は?」

「父さんは病院に、戻ったよ。」

「そうなんですか~、ちゃんとご挨拶したかったな~。あられもない姿みられちゃったし~」

もう瞳ちゃんを泣かせたくない。 僕が瞳ちゃんを守るんだ!!


~数日後~

☎ジリリ―ン☎

「はい❤天視施術院です。」
「はい、はい、少々 お待ちください。」
「先生~、出張整体の依頼なんですが、予約受けていいですか?」

「あっ、ありがとう受けていいよ。」

「わかりました~❤ それでは受けたまわります。 はい、それでは、お伺いします。」

瞳ちゃん、だいぶ吹っ切れたな。ここんとこ、大変だったもんな。
詳細を、瞳ちゃんから聞く。

「まだ時間あるな。瞳ちゃん留守中 無理に受けなくてもいいからね。」

「大丈夫です❤ 先生 心配しすぎですよ~。」

「そうは言ってもな~、とにかく瞳ちゃんの霊感でヤバいと思ったら、施術師がいないからと言って
 予約だけ、受けたまわって。」

「でも~」

「瞳ちゃん、言う事聞いて。普通のお客様は施術していいから。 ね!」

「わかりました。 先生の言う通りにします。」

瞳ちゃんは、納得いかないようだったけど、僕を信じてくれた。
もともと責任感のある娘だからな、僕は瞳ちゃんのそんなトコロが好きだ!
(って、何を考えてんだ、僕は。)

「先生~、どうしたんですか~?」

「瞳ちゃんさ、予約をこなしたら 日帰りになるけど、旅行にいかないか?」

「エッ❤ いいんですか?」

「この所、色々あったし、慰安旅行ってかんじでさ もちろん瞳ちゃんが良ければなんだけどね。」

「もちろんです❤」

良かった、瞳ちゃんも喜んでくれた。 僕もずっと一人で仕事してたし、スタッフができたんだ
これくらいはしないとな。たまには心霊の事も忘れてのんびりしよう。

「先生、そろそろ出ないと!予約時間に遅れちゃいますよ。」

「エッ、もう そんな時間?」

「先生、急いで!」

「じゃあ、後よろしくね! いってきます!」

「行ってらっしゃ~い❤


~予約したお客様のお宅付近~


街外れを歩いている

「ここら辺だよな~、この辺 住宅地じゃないよな~。 こんな所に家なんかあるかな~。」
「道を聞こうにも、誰にも会わないしな~。」

キョロキョロしていると、それは突然現れたかのように、建っていた。

「このアパートか~、こんな所にアパートが建ってるとは思わなかったな~。」

一階の角部屋ってはなしで、どういう事だとおもったけど。なるほど何号室とかの明記も無いし
表札もない。 それにしても、このアパート 不気味だな~

角の部屋の前に立つ

この部屋に間違いないとおもうけど、この異様な雰囲気はなんだ?
まさか心霊施術するよう事にならないだろうな~。  (ん?) ここ、呼び鈴ないのか?

”コン コン コン”

ドアをノックした。反応がない 留守か? いないのに予約しないか。
もう一度、ノックをする。

”コン コン コン”

やっぱり反応がない、帰ろうかどうしようか 迷っていると

「はい。」
と小さい声と共に、ドアが開く。

「予約された方ですか? すみません、助手がお名前も電話番号も聞くのを忘れてしまったみたいで。」

「はい。先崎 美悠と言います。 すいません、電話はないんです。さっきは、公衆電話で掛ました。
 あ、中へどうぞ。」

「失礼します。」

殺風景な部屋だな~、若い女性の部屋とは思えないな~ と、お客様に対して失礼だな。
なにか、嫌な雰囲気を感じるが、僕は普段は視る事ができない。
まずは、施術だ。

「どこかお疲れのトコロは、ございますか?」

「全身、あちこち痛くて、怠いんです。寒気はするし、医者はどこにも 異常は無いと言いますし。」

「わかりました。 施術はじめていきますね。」

先崎様の身体は、とても冷たい、氷のようだ。 心霊施術をしていると視えてくる。
先崎様に一体、憑依してるな~、玄関に一体 天井に一体 トイレに一体 お風呂に一体
なんなんだ この部屋? こんな狭い部屋に五体、まずはカウンセリングだな。

「先崎様。」

「はい。」

「失礼ですが、色々とお聞きしても よろしいですか?」

「色々?」

「はい、体調をくずしてからの事を、話せる限り話して頂きたいんです。」

先崎様は黙り込む、考え込んでいるようだが、ポツリ ポツリと話し始める。

「今は、こんなボロアパートに住んでますが、以前は都会でOLしてたんです。
 バリバリ働いてたんですが、突然体調を崩して仕事ができなくなってしまい、休職してたんですが休みすぎて
 会社も辞めるようになってしまって、貯金も底を尽きてしまい、マンションを引き払って、兎に角、安い部屋
 探してたら、ここを紹介されて。 
 ここにきたら、拍車をかけるように体調不良が悪化してしまい。もう生きているのが辛くなってしまって。」

思った通りだ、これは霊障だ。 心霊施術が必要だな。

「なるほど、だいたいわかりました。 人の気配と感じた事ありますか?」

「あります、、、。 エッ? 病気じゃないんですか?」

「違うんです。 先崎様に信じてもらえるか、どうか?」

「心霊施術の事ですか?」

僕は驚いた、こんな事は初めてだ。 霊的な事も信じるって事かな?

「知ってるんですか?」

「半信半疑だったんですけど、病院の待合室で話題になっていて、思わず聞いたんです。
 柏木って人を教えてもらって、その方に会って教えて貰ったんです。それで、先生の事を聞きました。」

そうか、柏木様が話してくれたんだ。

「柏木様は、なんて おっしゃってたんですか?」

「悩みは解決してくれるって。 信じるかどうか わからないから、実際に施術を受けてみて
 それで、打ち明けてみたら?って言われました。」

柏木様が紹介してくれたんなら、頑張らないとな。 それに、日本男児として困ってる女性を
放ってはおけない。 先崎様を助けたい!

「それでは、ここからが心霊施術になります。」
「今の状況をお伝えしますので、聞いてください。」

僕は、先崎様に伝えた。

「まず、都会にいらっしゃる時に事故死した霊が、憑いてます。」

「事故霊? でも事故現場とかに遭遇した事はないですよ。」

事故死した方の生き様が視えたので、説明をした。

「その方は、先崎様と同じように都会でOLをしていた方です。 その方には婚約者がいたんですが
 病で倒れて、入院していたんです。 職場から割りと近い病院だったので、お昼休みにお見舞いに
 通っていたようです。 
 ある時、婚約者が危篤の知らせを受けて、駆けつけようとした途中 交差点で、信号無視の車にはね
 られて亡くなってしまったようです。」

「婚約者の方は?」

「同時刻になくなりました。寿命だったんですが、彼女はそれを知らずに 今も交差点を走ってます。
 毎日 毎日、そんな時に走ってる先崎様に遭遇して ”この人も走ってる”って思ったら ループから
 抜け出す事は、できたんですが、先崎様に憑依するかたちになってしまったので、この家にも着いて
 きてしまってます。」

「今も、いるんですか?」

「はい、今も背後で戸惑っていますね。”ここは、どこ? 早く病院に行きたいのに。早く戻らなきゃ”
 といってます。」

「それじゃ。」

「はい、彼が亡くなった事も、自分が亡くなった事も、気ずいてません。 先崎様に連れて来られたと
 思って ”帰して”って、ちょっとヒステリックになってますね。」

「そんな、私どうすれば、、、。」

先崎様が、そう思うのも無理はない。 なんのかかわりのない霊が、自分に憑いているわけだから。
これは、何とかしないと。

「では、心霊施術で引き離してみますので、横になってください。」

「はい。」

ヒーリングをしながら施術をしていると霊穴が輝く、輝圧をする。
すると、先崎様から女性の霊体が浮かびあがる。 僕は霊体にサイキック ウエーブ マッサージを施す。
霊体が目を開ける。
僕は、霊体に話しかける。

「わかりますか?」

<はい。>

「あなたの名前は、何といいますか?」

<田中留美です。>

「あなたは、もう亡くなってるんですよ。」

<そんな?私は早く彼の所にいかないとならないの? ここはどこ?>

田中留美は、動揺しはじめた。 落ち着かせないと。

「あなたは、交通事故でなくなったんですよ。 あなたの未練でここにいる先崎美悠さんが、苦しんでいます。」

<その人が、私をここに連れてきたんじゃない? はやく、はやく行かなきゃならないのに!!>

「留美さん!!」

<なに?>

「思い出してみて、あの日のお昼休み、あなたの元に彼の危篤の電話が入ったのを。それを聞いて、彼の元にむかった。」

<だから こうして向かってるのに!  あっ!?>

「思い出しました?」

<はい、私 車に引かれた。 私のお葬式 お父さんもお母さんも、私に気付いてくれなくて。
 私、彼女に先崎さんに迷惑をかけた。 私が幽霊になって  ウウウウウウッ。>

そこまで話すと、田中留美は泣きじゃくる。
僕は、優しく問いかける。

「留美さん。」

<はい。>

「貴女は、上にあがらなくてはなりません。」

<私、あなたに除霊されるんじゃないの?>

「私は除霊師ではありません。私は心霊施術師です。あなたの事も救いたいんです。」

<でも、せめて彼女にお詫びを言わせてください。>

先崎様と話せてもいいものか?かんがえていると、先崎様が

「先生。」

「はい?」

「私、留美さんと話します。 先生と彼女との話し聞こえてましたし、彼女の姿も視えてます。」

「わかりました。」

僕の領分を超えているかもしれないが、当人同士が望むのだから希望を叶えてあげよう。

「留美さん。」

<はい。>

「先崎様が話しをしたいそうです。留美さんの声も聞こえてるし 姿も視えるそうです。」

僕は、だまって先崎様を見て、頷いて見せた。

「留美さん。」

<美悠さん、ごめんなさい。私 私、、、、、>  泣く

「泣かないで、私も女だから気持ちは、わかるわ。 でもね、私は留美さんが羨ましいかな?」

<え?私が羨ましいの?>

「私、仕事 仕事だったから、恋愛してなくて。愛せる彼氏も 愛してくれる彼氏もいなかったから。」

<美悠さん、あんなに苦しめてしまったのに、貴女はまだ生きている、これから素敵は恋愛をして欲しい
 私が、こんな事を言うのもおかしいけど。>

「私、頑張る! でも留美さんも幸せになって欲しい。 甦りってあるって聞くし、天国で彼氏に
 会えるんじゃないかな?」

<彼は、まだ生きていると思うし。もし亡くなっても、私は地獄行きだし 彼は天国に行くから。もう
 彼には会えないと思う。 地獄で反省するわ。>

「先生!」

先崎様は、田中留美の背後を視て、ハッとする。すかさず僕を見るので、僕は頷いて 話しを代わる。

「留美さん、残念ですが彼は亡くなっています。 留美さんが亡くなった時刻と同時刻に亡くなっています。」

<そんな、ウウウウ>泣く

「貴女を上げなくては、ならないんですけど。その必要も無いようですね。」

<やっぱり除霊されるんですよね?自分のやった事ですから、仕方ないです。覚悟はできています。」

「違いますよ。彼が貴女を向かいにきています。」

田中留美の後ろに、にこやかな表情の男性が立っている。

<え?> 振り向く

<省吾?省吾なの?>

<留美。>

<省吾ーーーーーーーーーー!!>

抱き合う二人。

「省吾さんは、だいぶ前から迎えに来ていたみたいですね。 留美さんが死んだ事に気ずかなかったから。
 視えなかった。 先崎様と話されて 行いに反省もされたので、姿が視えるようになったんですね。」

二人の姿が薄くなってきた、すると二人そろってこちらに向き直る。

<レイトさん、美悠さん、ありがとう!>

そまで言うと、眩い光とともに消えた。どうやら上がったようだ。

「先生、留美さん。成仏されたんですか?」

「ええ、上がっていきました。 省吾さんが迎えに来てくれたから、上がりやすかったようです。」

美悠さんは、すごやかな表情で話すも、ちょっと表情が曇り 僕に問いかける。

「先生、私、もう大丈夫なんですか?」

やっぱり、気になるよな~

「正直言うと、一つ片付いたってトコです、ここからが本番なんです。」

「どういう事ですか?」

僕は説明をした。 もともとの原因は田中留美なのは間違いない。
ここのアパートが事故物件だって事が、問題だ。田中留美の件でこのアパートに移る事になった。
むしろ陰の気が、このアパートに引き寄せされたんだろう。このアパートが厄介な事を話す。

「そんな事が、先生!なんとかなりますか? 事故物件の原因はなんですか?」

「僕は霊能師ではないから、今は原因がわからないんですよ。」

「そんな、私どうすれば、、、。」

美悠さんは、泣いてしまった。 僕は女性の涙には弱いんだよな~

「美悠さん、僕は”今は”と話したんですよ。」

「エッ?」

「事故物件となると、準備が必要なんですよ。準備さえできれば 困難ではありますが何とかできます。」

僕は、水晶鬼さえあれば、解決できる。そう確信している。

「できれば、2~3日、実家とかにいけませんか?」

「なんとかして頂けるんですね? でも留美さんが居なくなったから、少しはマシなんじゃ~?」

「逆ですよ。田中留美が取り憑いていた状態でしたから、ここの霊たちが手を出せない状態だったんです。
 それが、今は直接 手を出せる状態なので、かえって危険な状態です。」

「でも、私、親もいないし、前の仕事でも友達はいないので、ここにいるしかないんです。」

「そうですか、僕は実家住みなので無理か~、ではお店の仮眠室にお泊りください。」

「え?でも~。」

「大丈夫ですよ。お店には女の子もいますし、しばらく予約は入ってないので、泊まって頂いていいですよ。」

まあ、店に夜は人もいないし、僕と二人で泊まるわけでもないので、なんなら瞳ちゃんがいるから大丈夫でしょう。


~先崎様を連れて、店に戻ってきた。~

「ただいま~」

「先生、おかえりなさい。 あっ、そちらが電話の方ですか?」

「うん、先崎美悠さん。 瞳ちゃん、よろしく頼むね!」

「はい、美悠さん、よろしくお願いします!」

「岡崎さんですよね? よろしくお願いします。」

「そんな~、私の方が、年下だし瞳でいいですよ。」

「ええ、それでは申し訳ないので、瞳ちゃんで。」

「それで、いいですよ。」

「瞳ちゃん、部屋をあんないして。そしたら僕の所に来てね。」

「はい。」

瞳ちゃんに、事のいきさつを説明し、仮眠室が二つあるので一緒に泊まってもらえるように、瞳ちゃんに
頼んだ。

「それだと私一人じゃ~不安ですよ~。私は美悠さんと同じ部屋にしますので、先生泊まってよ~❤」

「でも、先崎様は女性だから、男の僕が隣に寝てたら嫌じゃないかな~。」

「レイト先生、私は大丈夫ですよ。先生は恩人だし、あんな事があったから 先生が近くにいたら安心だし。」

「じゃー、決まりね❤」

「ちょっと瞳ちゃん、美悠さん本当にいいの?」

「はい、それにへんな霊が着いてきてないか、不安なので お願いします。」

「うん、わかったよ!」

「やったー!! 美悠ちゃん行こう❤」

いいのかな~。でも、気にはなっていた。
あれだけの事故物件だから、憑いて来てるんじゃないかとは思っていた。
黒いモヤのようなモノも視えるし、水晶鬼をお守り代わりに置いていこうかとも思ったけど、僕にしか使えないし
僕のためにあるようだから。
これも、僕の役目だからな 用心棒と思って がんばろう!

~深夜~

今の所、なんともないようだな。
しかし、うら若き乙女二人が隣にいると思うと ドキドキしちゃうな~
いや、イカンイカン、あくまでも紳士に務めないと。

なんか嫌な感じがするな~。でもそれだけじゃー 乙女の部屋に行くわけにはいかないしな~
すると、水晶鬼が赤く点滅している。 これは危険信号だ! 何かある。

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」

二人の声が!? 何かあったか?

「瞳ちゃん!? どうしたの??」

「先生ーー!! 早くきてーー!!」

「入るよ!」

部屋に入ると、男がいた。 どういう事だ戸締りは、しっかりしてある。
痴漢か?変態か?  

「どうしたの?」

「いきなりこの人が入ってきて、というかいつの間にかいたんです。 先生!なんとかして!!」

こいつは霊だな。どうやらここに来る途中に、美悠さんに着いてきたな。色情霊かな? 嫌なかんじがする。
美悠さんを見ると、すごく怯えている。 男の風上にも置けない奴だ、消し去ってやる。

「水晶鬼よ、このモノを消しされ!」

水晶鬼がパッとかがやくと、変態霊は消え去っていた。

これが水晶鬼の本来の使い方なのかもしれないな。

「瞳ちゃん、美悠さん、大丈夫?」

「私は大丈夫だけど、美悠さんが?」

美悠さんに、ヒーリング施術を行う。 どうやら落ち着いたようだ。

「美悠さん、大丈夫ですか?」

「はい、もう大丈夫です。 でも、もしお二人がいなかったら、私、私。」

安堵からか、美悠さんは子供のように泣きじゃくった。 ひとしきり泣き終えると顔をあげて

「ごめんなさい。取り乱しちゃって。」

「大丈夫だよ、色々あったしね。 僕が絶対、美悠さんの安心を取り戻してあげる、絶対に!!」

「そうだよ!美悠ちゃん!ちょっと頼りないけど、先生にまかせとけば大丈夫だよ!」

「瞳ちゃん、それはないよ~。」

「フフフ。」

僕たちのやりとりを見て、美悠さんは笑っている。
とても素敵な笑顔だ。毎日笑顔で暮らせるように、美悠さんの日常をとりかえさないと。

二人の意向もあって、一緒に寝たがこの後は何もなかった。


~数日後・決戦の日~

準備を整え、美悠さんのアパートに向う。

準備といっても、水晶鬼を持ち施術着ではなく道着を身に着けた。
実は、瞳ちゃんを守るために空手を習い始めた。 父さんが空手部の主将で、おじいちゃんが空手の先生だった
のもあり、父さんに勧められた。 じいちゃんの日記にも霊力を高めるためにも武術がいいと書いてあったからだ。

美悠さんを守るんだと言って、瞳ちゃんも着いてきた。 僕としては、守るべき対象が増えるから大丈夫と言ったが
瞳ちゃんは、聞かなかった。
父さんに話すと、「お前は、守るべき者がいた方が力を発揮しやすい。」というので、了承した。
父さんは二人にと御守りを持たせてくれた。
ちなみにじいちゃんにコンタクトを試みたが、ダメだった。

美悠さんのアパートの前についた。

「美悠さん、今日で終わらせよう。 瞳ちゃん美悠さんを頼むよ。」

二人とも、頷く。

「行くよ!」

ギイイイイイイイイーーー

玄関の扉を開く。
(うっ)前に来たときより、凄い事になっている。オドロオドロしていて、まるでお化け屋敷だ。

「たった数日で、こんなになるのか?」

「先生っ」

「シッ」

ここは女性の声を出さない方がいいようだ。 一番まともな場所に父さんから習った結界を張り、盛り塩をして
二人を座らせた。 これで奴らからは見えないはずだ。

「いい、絶対に声をださいで。 僕が話しても話さなくていいから、確認する時は頷くだけでいいから。」

二人とも頷く

水晶鬼を額に当て、霊視する。 視えたモノを美悠さんの方を見ながら話す。

「隣の部屋は空室だと思うけど、そこに男が住んでいた。 この部屋に住む女性を好きになったみたいだね。
 この男は、歪んだ愛情でストーカーとなり、ここの女性に数々の変態行為を行った。困った女性は彼氏に
 相談した。彼氏は彼女を守るために泊まりにきた。それを知った男は逆上して、包丁を持ち出して
 玄関で対応した彼氏を刺し殺し、逃げ惑う女性を風呂まで追い込み 衣服を切り捨てた上で犯した。
 それで恐怖する女性に憎悪を持ち殺す。 たまたま目撃した近所のお婆さんを、刺殺した。
 自分を切りつけ、第一発見者を装って通報。
 彼氏を殺人者にしたてあげ、自分は怪我をしても彼女を守ろうとしたヒーローとして祀り上げた。」

「これが第一の事件。」

「次にこの部屋に住んだ女性も同じ被害にあい、辱めを受けて首吊り自殺。
 その次に住んだ女性も同じ被害にあい、怖くなり外出できなくなり、飲まず食わずで閉じ籠り息絶えた。
 さすがに警察も疑って捜査をし、男を逮捕となり家宅捜査に行くと男は死んでいた。犯人死亡で事件は終わり。」

「これが第二、第三の事件。」

「問題はここから、男は霊となっても同じ事を繰り返している。 もう亡くなった女性達も何度となく辱めを
 うけている。そして、新しく住み始めた美悠さんにも同じ事を繰り返している。」

「美悠さんも、危なかった。 そんな状況だから近くの浮遊霊だどが集まってきています。」

霊視をして視た通りに話したが、憤りを感じ 吐き気すらする。
美悠さんは、静かに泣いている。瞳ちゃんも自分の事のように泣いている。
許せない、許せる訳がない。 僕は心霊施術師、霊を浄化して上げてあげているが、こいつだけは消滅したい。
いけない、こんな状態で男を消滅したら、犠牲になった人達も消滅してしまう。
これでは、うかばれない。 冷静になって一つ一つ処理しないと。

まずは、ここに集まって来ている浮遊霊を、何としないとな。
魑魅魍魎みたいのや、もう人の形をしていない。 これは消しても大丈夫だな。
水晶鬼を前に突き出し、念じる。 水晶鬼が輝き出す。すると、一瞬で消し去った。

「よし!」

それにしても凄いな、これを魔霊に対してもできるようになれば、もっと悪いモノから救えるな。
部屋の隅にうずくまる、女性の霊に寄って 声をかけた。

「こんばんは。」

(いや、来ないで!やめて何もしないで!)

彼女は怯えている、可哀想に。
優しく声をかけながら、ヒーリングをする。

「大丈夫だよ。僕は君を助けにきたんだ。 僕の手から暖かい氣が出ているのが、わかる?」

「はい。」

「目を瞑って、ゆっくり受け止めて。

(はい。)

サイキック ウエーブ マッサージを施す。 よし霊穴が視えた。 輝圧をする。
彼女の身体も、生きている時のように戻ってきている。

「目を開けて、ごらん。」

彼女は、ゆっくり目をあける。 彼女の顔に笑みがやどる。

「もう大丈夫でしょ? 大変だったね、よくがんばった。もう苦しまなくていいよ。」
「自分の行く道が見えるでしょ?」

(はい、ありがとう)

そういうと彼女は、光に包まれて、上がっていく。

部屋の中央に来ると、首をつっている女性の霊を見上げた。
すると、彼女は部屋の中で怯えている。 男の幻影が入って来て、怖がる彼女を犯す。
彼女は、泣きながら首を吊る。 目の前で、何度も何度も繰り返す。
これでは彼女は辛いし、成仏できない。 そう思っていると又 男の幻影が入ってくるので、問答無用で
水晶鬼で切りつける。 男が消し飛ぶが確認はせずに、彼女の首のロープを水晶鬼で切り、受け止める。
ヒーリングしながら、彼女を光で包み込む。

「聞こえますか?」

(はい。)

ヒーリングが効いているので、取り乱してはいなかった。

(私、死んだんですか?)

「残念ながら、でも現況の男は消し去りましたから、安心して上がってください。」

(もう自由なんですね)

「自由です。蘇りってあると思います。 今度こそ、幸せになってください。」

(はい、ありがとうございます。)

彼女も、光に包まれながら、上がっていった。

レイトさん。レイトさんは、やっぱり凄い! 彼女達も癒されながら上がっていく。
それにしてもレイトさんは、乗り越える度にパワーアップしている。
レイトさん、カッコイイ!! 私ってば、こんな時に何いってんだろ。
それにしても、あの男の人、気持ち悪かった。 美悠さん、かなり辛かったんだろうな。
美悠さんを見ると、今の光景が視えていたのか視えなかったのか、目を見開いて、ただひたすら
凝視している。

僕は玄関を視た。 玄関には男の人が呆然と立ち尽くしていた。
近寄ると、彼に声をかけた。

「大丈夫ですか?」

彼は、ハッとすると。

「彼女を守れなかった。彼女をまもれなかった。」

と繰り返すので、ヒーリングしながら声をかける。

「落ち着いて。」

そう言っても、無理なのはわかっているが、さらに声をかけながヒーリングをする。

(俺は、彼女を守るために来たんです。なのに殺られてしまった。彼女は?睦月は?)

「残念ですが、奴の手にかかり、、、。」

(殺されたんですか?)

「はい。」

(うわああああああああー、睦月!睦月ー!)

「落ち着いて、奴は僕が責任をもって粛清します! まずはあなたを助けたいんだ!!」

{はあ、はあ、すんません。)

「貴方のお名前を、伺ってもいいですか?」

(小鳥遊孝平です。)

「小鳥遊君、目を瞑って、ゆっくり呼吸してください。」

そう言い、サイキック ウエーブ マッサージをする。 霊穴を見つけて輝圧する。

「目を開けていいですよ。」

小鳥遊君は、ゆっくりと目を開ける。

(あなたは?)

「僕は、心霊施術師の天視霊人。」

(彼女を、睦月の心を救ってください。)

「はい、睦月さんは必ず救いだします。 そして、奴も粛清します。」

(ありがとう!安心してあがれます。では。)

「孝平君、待って!」
「君の力も借りたい! 二人一緒に上がって欲しい! 少し待ってもらえますか?」

(わかりました。)

小鳥遊君には、少し待ってもらって、睦月さんの元へ向かう。

風呂場に来ると、睦月さんの霊が奴の分体に犯されていた。 今度は幻影じゃない、分身というか
ドッペルゲンガーみたいに、もう一体の奴の霊といえばいいか。

(キャー、やめてー)

睦月さんがめった刺しになっている。 これは酷い。 また奴の分体がやってきた。
もう、繰り返させない。

「やめろ!」

{何だお前は?}

「何でもいい、もう彼女に手を出させない!!」

{あの女は、俺のもんだ! お前にかんけーねー。」

「僕は彼女を救いに来た。 彼女の彼氏からも、お願いされてる!」

{彼氏だー。あの女の男は俺だ! あー玄関で死んでる男か? あいつは俺の女をほのめかすから、俺が
 成敗してやったのよ。俺はヒーローだー!だーはっはっはっは!}

何だ此奴は、狂っている。 本体も倒さなくてならないから、此奴に時間はかけてられない。
倒しても倒しても 再生してくる。(本体をやらないとダメか?)いや、本体と分体の二体は相手にできない。
それに、睦月さんをこれ以上 苦しめたくない。 どうする?

水晶鬼を手に強く念じる、(奴を倒せる力を!) すると、水晶鬼が強く輝きだすと、僕の右手に水晶鬼が
入っていく、腕全体が光ったと思うと、右手が鬼のようになありました。

「なっ、何だ!? 鬼化するのか?」

鬼化はしなかった。 右手だけだった。
良かった、父さんから鬼化したら、人間に戻らなくなるから、絶対になるなと言われていた。
力にみなぎる、まさに右手が水晶鬼そのものになっている。
これなら、分体を倒すのは、簡単だ。

「これを、くらえ!!」

鬼の手の爪先が、ライトサーベルのようになっている。
その爪で、やつを切り裂く!!

{グエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー}

跡形もなく消え去った。
この力は凄いな!でも、体全体もしくは、脳が鬼化したら、もう元の自分には戻らないだろう
と感じた。

睦月さん声をかえるも。

(いや~、やめてー)

「落ち着いて、睦月さん。」

(いや~~~~~~~~~~~~~~)

こんな思いを死して、なお繰り返してていたのだから、仕方ないか。
僕は、孝平くんを呼んだ。

「孝平君、ちょっと来て。」

(どうしました? あっ睦月!)

「奴は倒した、もう手出しできない。 ただ取り乱しているから、ヒーリングも心霊施術もできないんだ。」
「孝平君、頼んでいいかな?」

(任せてください。 睦月!睦月! 俺だ孝平だ!)

(孝ちゃん? 良かった!生きてたんだね!!)

(違う睦月、俺達は アイツに殺されたんだ。ゴメン、守ってやれなかった。)

(孝ちゃん?あっ!でも、どうして?)

(この方が、天視さんが助けてくれたんだ。アイツを倒し、俺も上がれるようにしてくれた。)
(睦月!天視さんを信じて、心霊施術を受けてくれ!)

(わかった、孝ちゃん! 天視さん、よろしくお願いします。)

「目を瞑って、ゆっくり呼吸して。」

孝平君のおかげで、ヒーリングはしなくても大丈夫だな。
サイキック ウエーブ マッサージを施す。 霊穴が視えた 輝圧をした。

(天視さん、なんか生きてる時みたいになってきました。)

「体も綺麗になっているね。もう苦しまなくていいんだよ。孝平君と一緒に上がっていこう。」

(睦月!)

(孝ちゃん!)

((天視さん、ありがとうございました!!))二人同時に話す。

そういうと、光に包まれ上がっていった。

(あの~)

ああ目撃者のおばあさん。そうか、奴を粛清したから、おばあさんのループは終わっていた。

「おばあさん、言いにくいのですが、、、」

(わかってます。私は死んだんですよね?)

「気付いていたんですか?」

(殺された記憶はあります。あなたの仕事を見てました。私も上がれますか?)

「そこまでわかっていれば、大丈夫ですよ!」

おばあさんにヒーリングをした。
それだけで、光に包まれて上がっていった。

(ありがとう先生)

お婆さんも、上がっていった。
よし!後は本体だ。これですべて終わる。

二人を見ると、美悠さんは気をうしなっている。あれだけの光景を見たのだから仕方ない。
瞳ちゃんは、美悠さんを支えている。
瞳ちゃんに目で合図をすると、コクリと頷く。

オドロオドロしい気配で、奴の首が覗く。
キョロキョロしている。自分の分体が繰り返していたはずの光景がないから、不思議そうな顔をして
戻ってしまう。
マズイな感ずいたか? 女性の気配がしないと入ってこないか? どうする?
 
危険かもしれないけど、瞳ちゃんに手伝ってもらうか。
瞳ちゃんの前に立つと、何か問いただしたいような表情で僕をみる。
声を出すなっていう僕の言いつけをしっかり守っている。そんな姿が愛おしく、可愛い。

瞳ちゃんを、こちょこちょする。

「うわっ、アハハハ、先生何するんですか~❤」

さらに、耳に熱い吐息をふきかける。

「あん、もう先生ったら❤」

可愛い。我にかえると。何やってるんだろうと思うが、奴をおびき出すためだ。

「来たな!」

さっきよりも凄い気配だ!間違いなく本体だ!!

{グルルル~。女の声と臭いがした、どこだ~。気配はなくなったが、たしかに聞こえたぞ。}

僕は驚愕した。デブのキモオタとは思っていたが、化け物じみている。
ん? なんだ!? やつはドンドン化け物化している。あまりにもの奇行で魔物を呼び寄せ
さらに奇行愚行を犯したから、魔物そのものに変化しているのか? 分体を全部消したから
魔力がすべて本体に流れたとでもいうのか?

僕は、瞳ちゃんを見ると、口に人差し指を当てて、シーのポーズを取った。
瞳ちゃんは、黙って頷きじっとしている。

「オマエは、何者だ!」

{グルルル~、ニンゲン オナゴヲドウシタ?}

「オマエは、何者だ?と聞いている!!」

{ワレノ ブンシンモ ニンゲン オマエガ ケシタノカ?}

「ああ、人を苦しめているからな。だから消した!」
「もう一度問う? お前は何者だ?」

{ワレハ ナニモノ デモナイ。 コノオトコノ ソウネンガ ギタイヵ シタモノダ。}

「何だって?」

よく見ると、化け物の数か所に変態キモ野郎の身体の一部が、見えている。
此奴には、心霊施術はできない。 いや効き目が無い。
水晶鬼で消し去るしかない!
水晶鬼を頭上に掲げ、発動する。

「水晶鬼よ!力を貸してくれ!」

水晶鬼は、なんの変化もなかった。
えっ?どういう事だ? 今までこんな事は無かった。どうしたんだ?
力が発動できない。 力を使いすぎたのかな?

{シテ ニンゲンヨ ナニガシタイノダ? マサカ ワレヲタオス ツモリカ?}
{オヌシモ トリコンデ ヤロウカ?}

ヤバい ヤバい どうしよう?
父さんから習った空手と、お爺ちゃんの日記にあった天視流の基本で、何とか凌ごう。
そのうちに、水晶鬼の力も戻るだろう。

{ドウシタ ニンゲンヨ ナニモ デキマイ。キリキザンデ ヤロウ。}

僕は、手足に気をまとい、化け物の攻撃を受けて 交わす。
いつまでかわせるか? 父さんが ”死中に活”と言っていた。
よし、死中に活を見出すんだ。 僕は、攻撃を受けながら反撃を試みるが効いてない。
気を纏っても、当たりはすれど効かないのか。
(ん?) その時、変態デブヲタキモ野郎の身体の一部が、微かに動いている事に気付いた。

「ここだ!ウリャー!!」

突きを叩き込む。

(ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)

キモヲタが悲鳴をあげる。
よし、こいつには効くぞ! 輝圧ならぬ輝殺だ!  今度は中指一本拳で突き刺す!

(ぎえーーー、痛い 痛いよ~。何するんだよ~。)

「お前が、女の子達にした事は、何百倍も酷い事をしたんだぞ!」

(みんな俺の者だ!俺の愛が分からないから、罰を与えただけだ。)
(だって、仕方ないだろう? 僕を理解しない 僕だけを愛さないんだから。)

「お前が、愛を語るな! お前はただのストーカーで殺人者だ!」

(違う 違う。僕は、悪くないんだ。)

聞いてるだけで、吐き気がする。
僕が発言しようとすると。

{オマエ ダマッテ イロ。ウルサイゾ!}

(な、なんなんだ、この化け物は? 俺の身体はどうなってるんだー?」

{ワレは、オマエジシンダ。 ワレガ バケモノナラ オマエモ バケモノヨ。」

(うそだー)

{ウソデハナイ。ワレト カンゼン二 ヒトツ二ナレバ。オンナモ オモイノママゾ。」

(それは、悪くないな~ うひひひ いいよ!一緒になろう!)

{ヨシ、ナラバ ワレ二 ココロヲ アズケヨ。}

(ああ、いいぜ!)

「させるかー! 覇ッ!」

{カタハラ イタイワ}

僕の攻撃は効かず、ブチ飛ばされてしまった。イタタタ。
融合しようとしてるから、もう攻撃が効かない。 完全に融合したら、もうどうしようもない。
どうする? どうしたらいいんだ? 父さん 爺ちゃん!!

(わーはっはっは~、凄い力だ! これなら女も思いのまま。邪魔な奴はぶち殺す!)

{オヌシ、マックロダナ! ジャアクナココロダ! ワレノチカラモ バイゾウスルゾ!」

(おい、化け物! まずはコイツをぶち殺そう!)

{ソノイケンニハ サンセイダガ ワレガ バケモノナラ オヌシモ バケモノゾ。」

(そうか、じゃー お前の名前はルシファーだ。)

{イイナ ワレハ ルシファー! ニンゲン カクゴシロ!」


ななんだ、化け物め 名前を得た事によって、パワーが上がっている。 しかも、ルシファーだなんて。
僕は愕然とした。 まさに悪魔だ! 水晶鬼が使えない以上 僕には成すすべもない。

({俺の邪魔をしたんだ、シンデモラウゾ!)}
({くラえー! シねえー)}

奴の鋭い爪が、遅いかかる。
僕は目を瞑るしかなかった。

「南無三!」

「ダメーえええええええええええ!」

攻撃をくらった衝撃が無かった。 それどころか、瞳ちゃんの声がした。
ゆっくり目を開けると、瞳ちゃんが僕の前で、僕をかばうように立っていた。
瞳ちゃんは、父さんから貰った御守りを盾にして、奴の爪をふせいでいた。

「レイトさん、しっかりして!! もう御守りがもたないよ。」
「このままじゃ、レイトさんだけでなく、私も美悠さんもやられちゃうよ!!」

僕は諦めた自分を恥じた。 瞳ちゃんに勇気をもらい、自分をふるい立たせた。

「うおおおおおおおおおおーーーーーーー!!!!!」
「瞳ちゃん、ありがとう! もう大丈夫! 後ろに隠れてて!」

「はい!」

瞳ちゃん、ゴメン。俺が守るよ! 神経集中!

「水晶鬼よ!頼む!力を貸してくれ! コイツを倒さないと、僕だけじゃなく 女性達。
 みんなが不幸になるんだ! だから、力を貸してくれ!」

ピイイイイイイイインと音と共に、水晶鬼が光だした!
わかる、今の水晶鬼なら、簡単に倒せる!! これならやれる!

({ソンナもの、カンケイないぞー コロシテやる~)}
({tydccqwjぃswjqxqxwkx:w:wqk:xqw:xlsssるるるrr?)}

水晶鬼の光で、訳のわからない言葉を発しながら、苦しみだす。
水晶鬼を光の剣にして、縦に真っ二つに切りつける。

(痛い~)

{グワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。}

奴らが、分断され二体になる。 こうなると ただの化け物と変態の霊だ。
化け物を問答無用に、消し去る。

「光の剣にて、消し去れ! 破邪!」

{グッ}

悲鳴を上げる事もなく、消し飛ぶ。
以外にあっけなかった。水晶鬼の本来の力なんだろうな、これが。
だからこそ、持ちてを選ぶんだ。

変態キモヲタを見る。
縋るようにして、僕の足元に膝まつく。

(お、俺が悪かった~、ゆるしてくれ~。あの化け物に、操られてただけなんだ。)

「あの化け物は、お前が造りだしたモノだ。 お前に邪悪な心が無かったら、生み出す事も無かっただろう?」

(それでも、俺に悔い改める事を、させてくれてもいいだろう?)

「本当に悔い改めるか? 反省して 地獄の閻魔様の元で償う事ができるか?」

(ああ、するよ! お前をぶち殺してからなあああああああああ!)

奴は僕が、油断してると思って、攻撃を仕掛けてくる。 何度もやられている。
騙されはしない、水晶鬼を握った拳で、奴の顔面に正拳突きを叩きつける。

「喰らうかー、ウリャー!!」

奴は吹っ飛ぶも

(今度こそは反省する、消さないでくれえええええええ)

「僕は聖人君子ではない、何度も悪霊に騙されるほど、お人よしでもない。」

その時、頭の中に思い浮かんだことを、水晶鬼に託した。

「水晶鬼よ、地獄の鬼となりて 奴の報いに地獄の粛正を与えたまえ!!」

すると、水晶鬼が光の炎となりて、奴をすっぽりの包み込む。

(ぎゃー、熱い、苦しい~)

「女の子達の苦しみは、こんなもんじゃないぞ!!」

どこからともなく鬼が複数現れて、奴に飛びつき かみつき 絞めおとし。
身動きが取れない状態で、足元より沈んでいく。

(いやだ~、地獄に行きたくない~、助け、、、、、、、、、。」

奴は、言葉もままならないいまま、沈んでいった。
おそらく、地獄に落ちたんだろう。 奴は未来永劫、永遠の苦しみを味わう事になるだろう。

「因果応報。」
「瞳ちゃん、美悠さん! 大丈夫?」

「先生!」

振り返ると、瞳ちゃんは気絶している美悠さんを、抱きかかえながら応える。」

「大丈夫です!美悠さんも、気を失っているだけなんで、心配ないです。
 それにしても大変でしたね?もうダメかと思ったけど。水晶鬼が復活した途端、あっという間でしたね?」

「水晶鬼が、復活しなかったら、やばかったよ。 僕も瞳ちゃんも美悠さんもダメだった。
 瞳ちゃんのおかげだね!」

「そんな、でもあれが水晶鬼 本来の力なんですね?」

「そうだね。助かったよ。」

瞳ちゃんもわかっていたのか。
僕は、まだ水晶鬼を使いこなせていないな。 まだまだだな。