個人経営の僕の店は、予約制なのに
なぜか、飛び込みの客が多い。

今日のお客様も、突然来店された。

「あの、予約してないんですが、大丈夫ですか?」

一見、何処にでもいるサラリーマン風の男性だった。

「どうぞ!」

空いてるが、普段なら予約制という事を説明するのですが、ただならぬ雰囲気と背後が黒んずで見え
何も言えずに、受け入れた。

「何処か、おつかれですか?」

「身体が重いんです。それと、冷え性なのかな?身体が冷たくて。」

「そうですか、血行不良かもしれないですね。では、様子見ながら、施術していきますね。」

ベットに仰向けになってもらい、身体を触るとヒヤッとして、思わず手を引っ込めた。

背筋もゾクゾクする。

「だいぶお疲れですね。」

その場を、取り繕い施術するも。
揉んでも、押しても、解れてる感じは、まったくせず。
どうしよう?と思っていると、客の背中に黒いモヤのようなものが見える。

気のせいではない。

(これは霊障だな)と思い。
おじいちゃんの日記を思い出す。

こんな事なら、しっかり読んでおくんだった。

僕は拝み屋ではない、整体師として霊の対処をおじいちゃんは、考えてくれていた。
普段の施術では、なるべく話しかけなんで疲れているか、言葉で探るんだが、今回は気を集中するため無言だ。

おじいちゃんの日記を思い出す。

そうだ、呼吸法だ!!
呼吸法とイメージで、客の邪気を出す。


何度か試みたところ、点のように光った。

これが霊穴だ!

そう確信し、押して見た。
手応えを、感じた。

「ストレス溜まってますか?」

「ストレスというか、マイナス思考というか。何にも、やる気でなくて。
落ち込んでばかりいます。」

「最近、変わった事ありますか?」

「変わった事?」

「落ち込むようになった原因とかありました?
事故を見たとか?変な所に行ったとか?」

「うーん、関係あるかわかんないけど。学生の頃、よくイジワルされてたんです。その相手にバッタリ会ってイヤミを言われて。嫌な気分になり思わず、死ねばいいのにと思ってしまって。そしたら、その相手が交通事故で亡くなってしまって。」

「・・・」

「今考えたら、それから不調続きで」

「そんな事が。あったんですね。」

「祟りなんでしょうか?」

「祟りがどうか、わかりませんが気にしないでいいと思います。
ただ死ねとか思わない方がいいと思います。」

「そうですよね。」

次々と出てきた霊穴を押す。
すると、黒いモヤが人の形になった。

これが相手かな?でも、どうすればいいんだろう??

心の中で、おじいちゃんと叫んだ。すると人形のモヤに霊穴が見えた、すかさず霊穴を押すと跡形もなく、人型のモヤが消えた。

手応えを感じたので、後は普通に施術し終えた。

終了後、来た時とは別人のようにかわったいた。
顔も明るく表情が良い、背筋も伸びている。
そして、なんといっても黒いモヤがない。

「どうですか?」

「凄く身体が、軽いです。手足も冷たくない、快調です。」

「また、いらしてくださいね。」

「はい。」

元気に、帰られた。

こんなにも効果的なんだと、自分が驚いた。
整体の勉強だけでなく、おじいちゃんの日記をしっかり読んで勉強しようと強く感じた。

「ありがとう、おじいちゃん。」

そう言わずには、いられなかった?