第二章【両想いが幸せとは限らない】

 飲み会から2か月近く経っていた、その間も鋼との関係は同じで良好だった。
楽しく話し、一緒に帰り、たまに飲む。(結衣に叱られたからもう泊まらないけど)。
でも、恋愛相談をされると、少し胸が痛むようになっているのを感じてきていた。

 休憩時間『〇ィズニーランド行ってきたからお土産。これは藍衣個人用。』
私だけ特別に、バイト先用の大入りクッキーとは別でお土産をくれた。
相変わらずの特別扱いしてくれるのね、いい兄貴だわと思った。

私『ありがとう♪このクッキー好きなの!あーこさんと行ってきたの?』
鋼『うん・・・なんかさ。ちょっと途中でけんかっぽくなったりしたけど。』
私『え?じゃあ、そこまで楽しめなかったとか?』
鋼『うん・・・。なんか噛み合わなかったって言うか・・・そうかも。』
私『そっか・・・せっかく行ったのに残念だったね。』

休憩が終わり、仕事に戻る。
仕事をこなして、閉店作業をする。
掃除に邪魔な,コスプレ付属パーツを、休憩室の自分のロッカーに仕舞に行くと
休憩室を、鋼がモップで掃除しているところだった。

私『お疲れ様ー。いつも休憩室の掃除ありがとうね。』
鋼『おう!お疲れ。あのさ・・・。』
私『どうしたん?』
鋼『あーこ との事、仲直りした方がいいよね・・・。』
私の中で、胸が痛み何かが溢れる感覚がした・・・。

私『ああ・・・ごめん。』
 『私、どうやら鋼ちゃんが好きみたい。』
 『だからどうこうしようって言うわけじゃないんだけど・・・。』
 『だから、もう辛いから恋愛相談とかしないで。』
 『せっかく仲良く友達になれたのに、こんなこと言ってごめんね。』
衝動的に言ってしまったのだADHDを恨む、合わせる顔がないと思い
私は休憩室を立ち去ろうとした。
鋼をちょっと振り返りながら、ドアに手をかけた瞬間だった。

鋼は、こぶしを縦に口に当てて、困った顔をしながら言った。
鋼『いや・・・別に・・・いいよ。だって俺も藍衣ちゃんの事好きだから。』

私は、とにかくびっくりして、訳が分からなかった。
何かびっくりしたり、照れたりした時に、こぶしを縦に口元に持っていって鼻と口を隠す
のが、癖なんだな・・・。
などと関係ない事を考えていた。

『そうか・・・、ありがとう・・・えーっとじゃあね。』
顔を真っ赤にして、手を振って休憩室を出るしか私にはできなかった。
鋼の顔も赤かった。

その日も、一緒に帰った。
いつも通りに話して、いつも通り帰る。
ただ、違ったのは【いつもの別れ道】で『家の前まで送るよ。』と鋼が言い送ってくれた
事だった。
二人で、私の家の前の袋小路に入っていく。
『ここが、私の家・・・。送ってくれてありがとう』と言うと

鋼は例の癖をしながら
『あのさ・・・あーこ・・・あきことは別れる。藍衣が好きだ付き合おう!』
と言われた。

私は、再びびっくりした。
だけど、色々考えて率直に今の心境を伝えた。
『それは、うれしい・・・だけど。』
『相手がいることだし、あーこさんとの事にちゃんと決着がつけられたら、付き合おう。』
少しの、沈黙のあと。
『日曜にあきこと会う事になってるんだ。だからその時にあきこにはちゃんと言う。だから・・・待ってて。』
そういうと、鋼は私をぎゅっと抱きしめた。

可憐な、あーこさんの顔が一瞬よぎって、罪悪感から抵抗しようか迷った。
でも、抵抗できなかった・・・心臓が破裂するかと思うような動悸がする。
やはり、私は鋼が好きなのだと改めて思った。

鋼が、私の両肩を持って顔を覗いてきた。
目が合うと、私たちはキスをした。

キスをしながら、何か月か前の飲み会のケンちゃんと鋼のキスを思い出した。
大丈夫、ケンちゃんともしてたんだから、私とキスする位何でもない。
私は、そう考える事で罪悪感をなかった事にした。

日曜は、バイトを朝から入れていた。
鋼は、予定通り休んでいた。
『鋼ちゃんの事は、考えるのはやめよう、期待するのもやめておこう。』
と自分に言い聞かせて一日仕事に集中しようとした。

あーこさんと鋼ちゃんは、2年も付き合っているんだし早々簡単に別れる事は出来ないだろう。
こんな、小娘よりあーこさんの方が可憐で女性らしい。
私は、自分が嫌いだったしサッパリ自分の魅力がわからなかった。
鋼は、私のどこに魅かれたんだろう・・・一緒にいて気を使わなくていいとか?
そこまで、女の子扱いしなくてもいいから楽とか?
友達からの延長なのだから、きっと【一緒にいて自分の素が出せて楽】は大きな理由だと思った。
鋼は容姿のせいで、モテるうえに、すぐに恋愛対象や憧れの対象にされてしまう。
女性と、友達になることが少ないであろう鋼にとっては、私は珍しい存在だったと思う。

気が付くと、仕事に集中していない・・・。
しかも、鋼の事を考えている。
「付き合うとか考えずに告白したんだから・・・友達以上を期待するな。」
自分に言い聞かせる。

閉店作業に移って、掃除が終わった頃だった。
『お疲れ様でーす。』
聞き覚えのある声が聞こえた。

一般店員『あれー、鋼くん今日は休みじゃなかった?』
鋼『そうなんっすけど、ちょっと用があって・・・。』
そのまま、鋼は1階のフロアに入ってきた。

私と、目が合う・・・。
鋼『ただいま・・・。』少し遠慮気味ににこっと笑うと
私の前まで歩いてきた。

私『おかえり・・・迎えに来てくれたの?』

その時に私は鋼の首の、服に隠れるか隠れないかの場所にキスマークがあるのを
見つけてしまった。
ああ・・・やっぱり振られるのか、そりゃそーだよね・・・私は覚悟した。

鋼『ちゃんと、あーこと別れてきた。だから会いに来た。』
私『え!?・・・じゃあなにこれ・・・?』Tシャツの裾をちょっと引っ張って
キスマークを見えるように出す。
鋼『ごめん・・・これだけは本当にごめん。最後にあーこにどうしてもと言われて。
いやだよね、こればっかりは引っぱ叩かれてもしょうがないと思ってる。』

お腹のなかでモヤモヤしたものが沸き上がる、生まれて初めての嫉妬だった。
嫌な気持ち・・・なんだこれ!ものすごい頭が熱い!
【パチンッ!!!】衝動的に鋼の右ほほを引っぱ叩いていた。

こんな綺麗な顔を叩く女なんて、他になかなかいないだろうな・・・。
客観的に、ちょっと冷静に見ている自分もいた。

さっき、鋼に声をかけた一般店員さんがたまたま入って来てしまい。
私が鋼を叩くのを見られてしまった。
「おおっと!?・・・」目を見開いて、腰をかがめこそこそと店の奥に入って行った。

それでも、鋼は私をぎゅっと抱きしめてきた。
鋼『ごめん・・・でも好きだ・・・。』

私は、気が付けば泣いていた。
人のものを取ってしまった罪悪感。
女と寝てきたけど私を選んでくれた事。
寝たのがバレるような証拠を残してきた事への嫉妬。
両想いのドキドキ感。
色々なものが混じって、なんとも言えない複雑な気持ちだった。

それから、何週間か毎日仕事と学校だった。
そんな中何の前触れもなく、母が言った。

母「お父さんの仕事が上手くいかなくなってきちゃたの。専門学校の2年に上がる学費が払えなかった、ごめんね学校は退学になってしまうの・・・。」
唐突すぎるだろ、バッターボックスに入ったら180キロの決め球を投げられた気分。

もう、12月だった・・・。
今更、お金の工面も無理だし、お金を借りるつてもない。
「あ・・・そう。・・・わかった。」なぜだか、一瞬でどうでもよくなった。
私は、ライブのステージなどの空間デザイナーになりたかった・・・。
なりたかったけど、『そっか・・・そっか・・・・そっか。』とりあえずどうしよう。
バイトを朝からにしてもらおう。
とりあえず稼ごう何かしなきゃ。

私は、バイトを朝から始める事にした。
朝は、鋼を起こしに行って一緒にバイトに行き、帰りも一緒に帰る生活が始まった。
鋼は、前までよく一人で遅刻しないで起きていたな・・・と思うくらいに、朝起きるのが苦手だった。
朝起こしに行くと、たまに鋼のお母さんにあう
藍衣「おはよーございます。鋼ちゃん起こしにきました。」
鋼母「ああ、あいちゃんおはよう。そうね案の定鋼はまだ寝てるわよ。」
藍衣「おじゃましまーす。」

付き合い始めてから、バイト帰りに鋼の家には毎日寄っていた。
鋼と鋼の兄とその彼女と弟(鋼は3兄弟の次男った)と一緒に、リビングでゲームをしたりしていたので、お母さんも顔見知りになったのだ。
私が学校をやめてから、本当に毎日一緒にいるようになった。

鋼を起こすと、「あい・・・」布団の中に引き込まれる。
キスをされるが、大抵鋼は半分寝ている状態だった。

私は、まだ処女だったので、心臓が忙しい位バクバクと音をたてた。
キスは何度もしたが、まだSEXはしていない、鋼も処女だとしっていたから
簡単に手を出すのも、どうかと思っているらしかった。


付き合いだして、どれくらいたったころか忘れたが
その日は、バイトが休みで、二人で池袋のコスプレイベントに出かけた。
イベントでは、鋼の知り合いや友人に多数会った。

その中で、すごく綺麗な子が鋼に気軽に話しかけてきた。
麗華ちゃんと言うらしい、名前通りの美しさだなと思った。
鋼が、私を「この子は藍衣ちゃんバイト先が一緒なんだ、俺の彼女。」と紹介してくれた。
藍衣「藍衣です、こんにちはよろしくね。」

その時、麗華ちゃんから『凍える』ような視線を受けた。
麗華「ふーん、そうなんだ・・・。こんにちは・・・。」
麗華ちゃんは、その後で鋼に笑顔で「じゃあねー」と言うと去って行った。
去り際と、去ってからなぜか私は麗華ちゃんから、ずっとにらまれていた・・・。

その様子を鋼が見ながら、言いにくそうに言った。
鋼「えーっと・・・ごめん。昔麗華ちゃんと浮気した事があって・・・その。」
藍衣「あぁなるほど、何でこんな小娘が鋼ちゃんの彼女になってんのよ的なねぇ・・・。」
鋼「・・・ごめん、藍衣は何も悪くない。」
藍衣「・・・。(こりゃ今後も女関係色々でてきそうだな。)」

しばらくすると、今度は麗華ちゃんとタイプが違う
かわいい系の、お人形のような子がいた。
やはり、鋼に気軽に話しかけている。
その子は、私にも笑顔で話しかけてくれた。
鋼「あの子は、ひかりちゃん・・・まえ俺が好きだった子。前だけどね今は違うけど。」
藍衣「いや・・・あぁそうw(反応に困るだろ?いらん情報やん!)」
おそらく、私の立場はまだ、彼女兼なんでも話せる妹の位置なんだろう・・・。
『それにしても、ぶっちゃけ過ぎだろ・・・。』
と密かに心の中で突っ込んだ。
もしかすると、早めに身体の関係を結んでおいた方がいいかもしれない。
とも密かに思った。

鋼の家に帰ってくると、ちょうど鋼のお母さんが出かけるところだった。
鋼母「あいちゃん、ちょうどいいわ♪髪の毛後ろで三つ編みしてくれない?」
藍衣「いいですよー。」

私は、中学高校と規則で、三つ編みをして学校に通っていたので、三つ編みは大得意だった。
藍衣「はい、できました。」
鋼母「ありがとう、どう、かわいい?」
藍衣「にあってます!かわいい♪」
鋼母「ふふ、じゃあ行ってくるわねー。」
鋼・藍衣「いってらっしゃーい。」

お母さんが出ていくと
「うちの母ちゃん、知り合いの夜のお店手伝ってるんだ。」と言った。

鋼の家の近所の八百屋で野菜を買い、メニューは忘れたが鋼と一緒に料理をした。
わいわい言いながら、野菜を切り味付けを相談して楽しかった。

二人で、夕飯を済ませて、私が鼻歌交じりに食器を洗っていると
鋼が後ろからゆっくりと、抱きしめてきた。
鋼「あい・・・なんかさ藍衣にはすごく、将来性を感じるんだよね。」
藍衣「将来性?鋼ちゃん・・・くすぐったいよー。」
腰のあたりを撫でる手が、まだ私にはくすぐったかった。
将来性とはなんだったのか、この時19歳の処女である私には、全くピンと来なかった。

夕飯後は、鋼の部屋でまったり過ごした。
テレビを見ながら、キスしたり、手を繋いだり。
途中で、別でシャワーを浴びて、またイチャイチャしだした。
今まで、何回か部屋に泊まったがまだSEXはなかった。
でも今日はいつもより、かなりいい雰囲気だった。

どうやら、とうとう鋼の性欲のスイッチが入ったらしい、深いキスを何度もされた。
そこまで深いキスは初めてで、息継ぎの仕方がわからなかった。
苦しくて、「・・・ん・・・。(くるしい!)」と、のどから声がでてしまった。
それで、煽られたらしい。
鋼の手が、身体をまさぐってくる。
顔から首筋、胸、お腹、腰と、服を捲られて、キスされて手もすべるように身体を撫でる。

鋼「藍衣・・・好きだよ。」
藍衣「鋼ちゃん・・・したい?」
鋼「え・・・でも、初めてなんでしょ?それは・・・」
藍衣「鋼ちゃんとだったらいいよ。しよ?」
鋼「したいけど・・・んー」

鋼は困った顔で葛藤しているようだった。
大事にしてくれるのはありがたかったけど、私は処女なんか早く捨てたかった。
新しい世界が見たかったのだ。

藍衣「いいよ、しようよ。」
鋼「でも、したらたぶん毎回止まらなくなる・・・。」
藍衣「いいからはやくー」
鋼「え?!そんなに待っててくれたんだ、ありがとう。」
また、鋼は深くキスをすると、また身体を触られた。
しばらく胸などの愛撫が続き、自分でもほとんど触ったっ事がなかった密所を触られた。
感じた事の無い感覚に、身体が跳ねる。
じわじわと上り詰めるような感覚に
「ダメ・・・鋼ぇ・・手止めて本当にもうダメ」と怖くて
ストップをかけた。
その時には、私の服はいつの間にか全部脱がされていて、裸だった。
鋼は、自分の上着とズボンを脱いだ。

大きくなった男性のものを生で初めてみた。
正直びっくりした。
『まった・・・思ってたより大きい!あれ入るの?』
一瞬逃げ腰になったが、ゴムを付けながら鋼に深くキスされて、それどころじゃなくなった。
鋼「藍衣・・・入れるよ、痛かったらすぐ言って。」
藍衣「うん・・・いいよ。」
十分濡れていたが、やはり何も入ったことがないので、入れるのは一苦労らしい。
先から少しづつ、出し入れしてならして行く。

鋼「藍衣、大丈夫?痛くない?」
藍衣「痛いけど・・・大丈夫・・・。」
まだ、その時は余裕があった。

鋼「最後まで入れるよ・・・多分痛いと思う。」
その時に見た、鋼の王子様スマイルは今までで一番破壊力があった。
うっとり、みとれてしまう位に綺麗だった。
自分の、初めてをあげる相手に不足なし!と確信した。

藍衣「うん、大丈夫・・して・・・。」
鋼は、私の左手を恋人つなぎでっぎゅっと握ってくれた。
そして、最後まで一気にぐっと入れられた。

藍衣「うあ!・・・いたっ!」
おそらく、私の処女膜はしっかりとできていたのだろう。
意識が飛ぶかと思ったくらいだ、一瞬目の前が本当に真っ白になった。
想像を上回る痛さだった。

鋼「藍衣だいじょうぶか?しばらくこのままでいようか?」
藍衣「痛くてびっくりしたけど、大丈夫。初めての後もしばらく痛いらしいから、気にしないでいいよ。」
その後、鋼はいたわる様にゆっくりとしてくれるように、心がけてくれたようだった。
途中、ちょっと鋼の理性が飛んだらしく
急に激しくなり、身体が堅い私には、無理な体制もあってちょっとびっくりもした。
そのせいか、時間があっという間に過ぎ気が付けば、明け方4時すぎていた。

翌日と言うか、今日は二人ともバイトだったので早く寝なければいけない。
『もう身体中に力が入らないな』全身がだるく動けなかった。
鋼が優しく抱きしめてくれ、何度もキスしてくれた。
そのまま、気が付いたら私は眠りについていた。

翌日、目覚ましで目が覚めた。
動こうとしても、なかなか動けない。
鋼が珍しく先に動き出した。

鋼「藍衣、身体大丈夫?動ける?」
藍衣「うん・・・だるいし身体中が痛い・・・」
あまりの怠さと、身体中の筋肉痛がひどくて笑えた。

藍衣「なにこれ・・・ふふふ・・・いたーい。笑える。」
身体は痛いが、私が明るく元気そうなので、鋼も安心したらしい。
キスすると、鋼もふふっとつられて笑った。
鋼「藍衣の初めてもらっちゃったよ・・・。藍衣が小さいのか中がすごくきつかった、気持ちよかった。」
藍衣「鋼ちゃんにもらってもらってよかった、幸せだった。ふふふ・・・」
なぜか、笑いが止まらないけど、本当に全身が激痛だった。

その後、支度を済ませて駅まで歩くのに、大股で歩くことができなかった。
股や太ももが痛くて、響かないようにいそいそと小股で歩くしかなかった。
鋼は常に心配していた。
鋼「藍衣、無理して早く歩かなくていいよ。ゆっくりいこう。」
藍衣「うん、ありがとう。」
股が痛いのは覚悟していたけど、まさか全身が筋肉痛になるとは想像していなかった。
した事のないような態勢を結構取らされるものなんだな・・・、身体がかたいから大変だなぁ。
と客観的に、妙に冷静な分析をしていた。

その後、やはり「止まらなくなる」と言っていたように
バイト帰りにほぼ毎日、SEXをした。

痛くなくなったのは、3回位してからだった。
4回目位から、気持ちいいと言う感覚が少しわかってきた。
それくらいから、鋼もあまり遠慮したり理性を抑えなくなってきた。

ある日、あまりにも激しくて、大腿骨が外れるんじゃないかと思った事があった。
藍衣「あ!鋼・・・まってもう壊れそう・・ダメまって・・・まって」と伝えたつもりだった。

ところが、男の方からしたらそんなものは、煽り文句に聞こえたらしい。
一層激しくされて、身体が硬い私は本当にピンチに陥った。

藍衣「鋼ぇーダメぇー。」私は泣き出した。
鋼「!ごめん!藍衣本当にごめん、大丈夫?」

鋼はびっくりして飛びのいた。
藍衣「ごめんね・・・本当に壊れちゃう。大腿骨外れるかと思ったの。」
私の身体が硬いせいだ、なんだか申し訳ない。
鋼「慣れてないのに、激しくしすぎた。ごめんな・・・。」
鋼が、優しく抱きしめてキスしてくれて、後は優しく続きをしてくれた。

鋼と、私じゃ経験値が違いすぎるのだ。
きっと、鋼の元カノや浮気相手もかわいい子や綺麗な子が多いので、それなりの経験があったんじゃないかと思う。
でも、私はいままで告白されたりアプローチされても、付き合いはしなかったし
鋼が初彼で初体験の相手なので、たまにどうしていいかわからない時があった。

しかも、ある日SEXの後、鋼が後処理をしながら言った。
鋼「この間、根本から先まで測ったら、18センチ位あった。日本人の平均15センチ位らしいんだよね。俺長い方なのかも。」
確かに、初めてする時に『それ、入るの?!』と思ったのを思いだした。
どうりで、初めてが意識が飛びそうな痛さだと思ったら、初体験の相手が大きかったのか・・・。
私は、身体が小さいからいつもきつきつらしく、根本まで入れられたら最奥まで衝かれ
いつも、ヘトヘトになった。

さらに、事件が起こったのは日曜日の昼だった。
その日は、バイトが二人とも休みでイチャイチャして過ごしていた。

鋼「藍衣、口でしてみて」
藍衣「初めてするからドキドキ・・・。」

初めて、口でしてみる事になった。
前に説明したと思うが、私は身長が149センチしかない。
そのせいで、小顔で口も小さい。
でも、鋼の身長は180センチで性器もデカい・・・。
咥えているうちに、鋼の理性が飛んだらしい激しく動かされた。
結果・・・。

顎の骨が外れた・・・。
口が開いたまま半分しか閉まらない状態になった。
しょうがないので、急いで救急外来をやっている病院に駆け込む羽目になる。
しかも、【死にきた】と言うあだ名があるような、あまり評判の良い病院ではなかった。

なんとか顎の骨ははまったけど、それから顔が少し曲がってしまった。
今考えたら、かわいい均整の取れた輪郭が曲がったなんて大事件なのだから、病院にも鋼にも責任を取ってもらえばよかったなぁ。
おまけに、そのせいで顎関節症にもなってしまったのだった。

最近は、私にそっくりな次男の顔を見ると
キュッと顎がとがった、昔の卵型だった自分の輪郭を思い出して切なくなる。
顎が曲がったせいで、写真写りは悪くなったし、顎が短くなって丸顔になってしまったのだ。
私の顎を返せ!と思う現在の私である。