僕らはそれから、先ほどもお世話になった海の家でお昼を取ることにした。
 体調不良のとき、軽く食べた方がいいのは確かだしね。

「おばちゃん。唐揚げとフランクフルト、大盛で」

 だが、龍也は胃に負担をかける物を大量に注文する。

「おい!」

「日射病なら、もう大丈夫だって。俺、風邪は速攻で治る体質だし」

 風邪と日射病は関係ないぞ。

「そちらのお兄さんとお姉さんは?」

 龍也は無茶ぶりに呆れていたら、僕と暦さんの注文を尋ねられた。

 メニューを見ながら「とりあえず、親子丼にしておこうかな」と選んだ。

 僕は直ぐに決まったが、暦さんはかなり悩んでいる。

「これおいしそう。こっちもいいな」

 しかも、かなりはしゃいでいる。もしかするとお嬢さまだから、海の家なんて庶民的なお店に来たことがないのかもしれない。

 必死になって悩む姿が微笑ましくい。眺めていても飽きないや。

「ん~?あっ!そうだ。歩くんと同じのにしよ」

 暦さんが僕と選んだのと同じ親子丼をお店の人に注文する。

 わざわざ僕の同じものを注文したことを変に意識するが、彼女には何の意図もないと自分の心に言い聞かせる。

 暦さんは別に僕を意識したわけじゃない。何を選べがいいかわからなくて、何とはなしに同じものにしただけだ。

 
「少々お待ちください」

 注文を受け付け、お店の人は厨房へ戻っていく。

 僕はトイレに行くふりをして、龍也に気付かれないようにさっきの店員さんを追う。

 龍也たちが座っている席から資格になるところで、話しかける。

「すみません。注文変更お願いします」