緑が多い茂る5月。緑の葉を無造作に食べる幼虫たちを時折窓から眺めな、勉強に勤しむ。

「なぁ〜、歩〜勉強見てくれよ〜」

「嫌だよ。僕は生徒会に入っているから、お前の面倒を見る暇なんかない。それに今日は、この間のテストの復習をしなきゃいけないんだから」

「いいじゃん!そんなの!2位だったんだろ!」

「だから、復習してるんだ」

 2年生初の定期テスト。幼馴染の龍也は全科目赤点、僕は2位と相変わらずだ。

 そして、相変わらずなことはもう1つ。

「でも、不思議だよなー。風無さんが毎回1位なんて」

 風無さんは、1年の最初の定期テストから、1位であり続けている。しかも、全教科必ず満点。

 だけど、普段の行いと鑑みると、彼女の実力なのか怪しか思えてくる。

 学校指定の服装をしない、授業はサボる、来ても居眠りをする、立ち入り禁止の場所に我がもの顔で居座る。

 そんな模範的な生徒ではない人が1位を独占し続けているなんて、カンニングを疑った。けど、今年度からは同じクラスになったけど、そんな行為は見受けられない。

 この間珍しく授業に出席したときに先生に名指しされたが、彼女の難しい数式をすらすら黒板に綴った。他にもそのようなことが何度かあった。

 それ以来、この教室で彼女の不正を疑う者は僕を含めていなくなった。彼女の実力を認めざる追えなかった。

 だからこそ、許せない。

 真面目に勉強をする様子がないのに成績優秀で、学校のルールを無視することに…

 そんな彼女に負けている自分に…

 でも、実際のところはどうなのだろう?彼女は1匹狼で、人に興味がないのか、誰かと一緒にいるところを見たことがない。そのため、彼女の真意は誰にもわからない。

「あっ!いっそのこと、風無さんに勉強教えてもらえば」

 こいつ本気で言っているのか。僕は自分の力だけで1位を取りたい。他人に頼って、学力が上がって嬉しくはない。教えてもらう人物が不真面目な風無さんじゃなおのこと。

「絶対にないね!これまで通り、自分で勉強する」

「維持貼ってないで、頼むなよ。そんなんだから、いつまでたっても親父さんを見返せないんじゃないのか」

「それは…」

 痛いところを突かれて、口が閉じる。

 今までと同じやり方では限界があることは確かだけど…

「それに、歩むが風無さんと仲良くなれば、俺もあの子と仲良くなれるチャンス!2人に勉強を見てもられば、補修もこれまで以上にバッチリ!」

「僕を引き合いに出すな‼」

 調子に乗っているこいつの頭を軽く叩いてやった。