「ここが私のお家」

　車から降りると、鉄製の門扉の前だった。門自体は黒、それを支える柱は白く、装飾はかなり凝った作りだ。

　門の向こうに存在する家は、西洋風のデザインの豪邸。門から家に続く1本の道は長く、両脇には様々な花が広い範囲で咲き誇っている。

「さあさあ、上がって」

　風無さんに腕を引かれ門を潜る。

　遠目からでも大きく見えていた豪邸は、近づくほど城と見間違える。周りの花は、知っているのもあれば、見たことがないものはある。だが、それらが全て高価なものであることは間違いないだろう。

「お帰りなさおませ。お嬢さま」

「じい、ただいま」

　扉を抜けて直ぐに執事さんらしき人が出迎えてくれた。中高年ぐらいの人で、清潔感のある白いシャツと黒いスーツが良く似合っている。

「そちらの方は?」

「はじめまして。風無さんと同じクラスの喜録　歩むです」

「左様で。私はこの家に執事の大川と申します」

「じい、この子医務室に連れて行って。私は部屋に荷物を置いてくるから」

「はい、かしこまりました」