「美味しかったし、楽しかったね!」
タクシーに乗って
マンションの名前を伝えると
大蔵さんは普通だった
「ホントですか?
気に入ってもらってよかった!
大蔵さんは醤油の方が好きでした?」
私も普通にしてた
「んー、次は塩にする」
「もしかして無理に交換してくれました?」
「いや…無理でもない
織乃さんが食べてるの見たら
美味しそうで食べたくなった」
大蔵さんはそう言ったけど…
私が塩好きって言ったから
譲ってくれたんだよね
「私、あそこの餃子も好きなんです
今度行ったら是非食べてみてください!」
「オッケー!
次は塩と餃子ね
今日、餃子も食べればよかったね」
「でも、ニンニクが結構すごくて
気になるかな…って」
「オレ、ぜんぜん気にならない」
気にしてたのは私か…
「ありがと、今日…
…
織乃さんのこと、いろいろ知れた
…
身長差20cmだったこと
…
私服がかわいいこと
…
あそこのラーメンは醤油も好きだけど
塩の方が好きなこと
餃子も好きなこと
…
彼氏はいないこと
…
織乃さんの好きな少女漫画
…
その主人公にオレが似てるって
…
笑った顔
困った顔
焦った顔
怒った顔
照れた顔
…
なんか、思い出すとオレが照れる
…
…
オレ、織乃さんのこと…」
「ハイ…お客さん、到着しました
1850円になりますね」
「あ、はい…
カードで…」
「ハイ…ありがとうございました」
「どーも…
あ、このまま彼女駅までお願いします」
「私、駅まで歩きます!大丈夫です」
「ここで降りると時給発生するけど…」
「あ、それは…」
「じゃあ、おやすみ
また行こうね!
あ、もうひとつだけ知りたい
名前教えて!織乃さんの名前」
「え、あ、私…紬(つむぎ)です
織乃 紬」
「紬…ツムツムね!
おやすみ!ツムツム」
大蔵さんは運転手さんに
1000円札を渡して降りて行った



