翠玉の監察医 癒えない時間

ミンホが非常階段から出ようとしたため、蘭も慌てて続く。外は一見、ライフルを持った人々はいないように思えた。しかし、蘭は一瞬で危険を察知する。

「ミンホ！！」

蘭はミンホの手を掴み、非常階段から引き離す。刹那、階段にたくさんの銃弾が飛んできた。敵に完全に囲まれているのだ。

「一体、奴らの目的は……」

ヘンリが顔を真っ青にし、ミンホも体を震わせる。アーシャは耐え切れなくなったのか、涙をこぼした。そんな中、蘭は警戒しながら言う。

「私たちが解剖したご遺体の中に、彼らにとって都合の悪い真実が隠されたご遺体があったのではないでしょうか？そして私たちを殺害して遺体を処分するつもりでは……」

「そんな！こんなところで死にたくない！！」

アーシャが叫んだ刹那、近くで銃を構える音がした。蘭は慌ててアーシャたちを連れて逃げ、追ってきた男は蘭が相手をする。

どれほどそうしていたか、わからない。まるで世界法医学研究所は戦場と化していた。あちこちから銃声と悲鳴が響き、廊下にはかつては仲間として共に働いた仲間の遺体が転がり、血の匂いが充満している。