あなたの左手、 私の右手。

「ありがとうございました」
今回の出張はすべて経費で落とすからと、先輩がすべて支払いをしてくれている。
中にはきっと落ちないものもあるのだろうと知っている私が財布を出すと、先輩は「あほ」と私に出させてくれない。

ホテルの部屋の前。私たちは毎晩、ホテルの部屋の前で翌日のスケジュールを確認する。

「明日は最終日やから、新規開拓とリサーチだな。行きたい店舗あったら行くで?何食べたい?」
「っ!」
待っていましたと私はカバンからノートを出す。

「なんやこれ、すごいな。」
私なりに流行している食べ物や、噂の店をノートにまとめている。
そのノートのページを開き先輩に見せる。
「これ、どうですか?」
「ん?」
私の隣に近づき、ノートを覗き込む先輩。