あなたの左手、 私の右手。

「具合悪くないか?」
「大丈夫です。」
「そっか。ならいい。」
ちらりと先輩の方を見ると優しく微笑んでいる。

「お前、俺のいない場所で酒飲むの当分禁止な。心配で仕方ないわ。」
「・・・はい」
嬉しいような、言葉の意味が気になるような、そんな複雑なおもいのまま、『おやすみ』と私が部屋に入るのを見届けてくれる先輩に小さく頭を下げた。

「おやすみなさい」
先輩は大きな手を少しひらひらさせて手を振ってくれた。



ホテルのドアを閉めてから、私は少し立ち止まり動けなくなる。

あー、私・・・先輩への気持ちが変わってきてる・・・

そう実感して動けなかった。