あなたの左手、 私の右手。

「降りるん?」
後ろから腕をつかまれて、振り返るとそこには私よりも頭一つ分以上背の高い細身のスーツ姿の人が立っていた。
「次で・・」
驚きながらも言うと、その人は私の手をつかんだままぐいぐいとドアの方へと進んでくれた。

見た目、悪そうな人には見えない。
年齢は私と近いか年上かな・・・

黒髪短髪で、かなり整った顔をしている。
むしろ整いすぎていて少し話しかけにくさすら感じるタイプ。

イケメンなのに、いいひと・・・。

握られた腕は少し痛いけど、そのごつごつとした骨ばった手が心強くすら感じる。

何度も回転させられていた私の体は大きな体のその人が作ってくれる道をすいすいと進める。