あなたの左手、 私の右手。

「おろしてください。恥ずかしいです。」
「このほうが早いやろ。それにこの時間は誰もおらん。」
「・・・」
確かにロビーには誰もいない。

「これもって」
先輩がそう言って自分の首からかけていた私のカバンを私の方に向ける。
「・・・はい」
おとなしく先輩の首から自分のカバンを受け取る。

「すみません・・」
「これは大きな貸しやな。期待しとるで、返してくれるの。」
「・・・え・・・」
「仕事の頑張りで返してくれたらそれでええんや。」
「・・・はい」
先輩はすたすたと歩き、ホテルの私の部屋の入り口で私をおろしてくれた。