「だから言ったやろ。お前どんくさいんやって。第一、お前の身長では届かんやろ。」
笑いながら私の頭を撫でる先輩。
「ひどいです。」
「本当のことやろ。大丈夫か?ほら。」
私の両手をギュッと握って立たせる先輩。

「座っとき」
先輩は私を窓際の席に座らせて、すんなりと荷物を棚に上げてくれた。

「すみません、冷やす氷いただけますか?」
私が頭を荷物で強打する様子を見ていた係員に先輩は氷嚢を頼んでくれた。

「ほら、これ頭にのせとき。・・・ぷっ・・・ははっ」
氷嚢を私の頭の上にのせて再び先輩は爆笑しはじめる。
「笑わないでください。」
「すまん。でも無理やろ。面白すぎ。」
お腹を抱えて笑う先輩と頭に氷嚢をのせる私が乗り込んだ飛行機はこうして離陸した。