あなたの左手、 私の右手。

「結構スケジュールがきついから、休めるときに休めよ?」
「はい。大丈夫です。体力には」
「自信があるんやろ。」
「はい」
先輩は私にメールで今回の出張のスケジュールを送ってくれている。

「スケジュールをいただいたので、いろいろとシュミレーションしてきました。」
「よしっ、えらい」
まるで犬をほめるような先輩の態度。
なのに、うれしく思ってしまう。

「まだ搭乗には時間があるから、今のうちに休憩や。」
「了解です」
私はラウンジの窓から見える景色を見ながら、先輩が用意してくれたコーヒーをのんだ。

「おいしいです。ありがとうございます。あっ、私からは先輩に。」
カバンから私が出したのはおばあちゃんの握ってくれたおにぎりだ。

「おばあちゃんのおにぎりです。味おこわで作ってあって世界一おいしいんですよ。」
私が渡すと先輩は大きな手でおにぎりを受け取ってくれた。