あなたの左手、 私の右手。

「赤名の右手が使えなくても、俺の右手ですればいいやろ?離すことないやん。こっちなら。」
「でも、逆だったら私が先輩の分も私の右手でいろいろやればいいでしょ?」
最近私は先輩に敬語を使わない努力をしていた。

「その先輩っていうの、二人の時やめろって言っとるやろ~。でも運転すんのもいつも俺やし。」
先輩は運転するときも私の手を左手で握っている。

「じゃあ、私が運転すればいい。修平じゃなく。」
まだ名前を呼ぶのには勇気がいる。思わず声が小さくなった私にふっと笑いながら先輩は話を続ける。

「ダメ。美羽の運転は生きた心地がせんわ。」
確かに私はペーパードライバーだ。

つい最近先輩の車を運転して、たった数メートルで先輩から運転を代わるように言われた。

「ええやん。二人でいるときは俺が右側で美羽が左側。もうそうじゃないとしっくりこーへん。」
「・・・」