「赤名!」
その声に私はまるで暗闇に光が差したかのような安心感を感じた。
顔をあげると先輩が携帯電話のライトを頼りに私のすぐ近くに来ていた。

「大丈夫か?怪我無いか?」
「大丈夫です。」
あまりの恐怖に座り込んでいた私の前に先輩は躊躇なくしゃがみこむ。

「動けそうか?」
「ちょっと手を借りてもいいですか?」
「了解。ほら。」
先輩は私の体にけががないか確認をしながら、力強く立たせてくれた。

「あたりが停電しているようです。非常電源は今警備が確認に向かいました。」
周りの社員たちの動きと上司の指示を聞く私たち。

「お客様の誘導に入れそうか?」
「はい」
先輩は私の手を支え、携帯電話の明かりで足元を照らしながら、フロアを誘導してくれる。