あなたの左手、 私の右手。

通夜の日と葬儀の日、ちょうど週末で俺は彼女のそばにずっといることができた。

憔悴しきっている彼女が気丈にふるまい、あれこれ段取りをしたり、弔問者に挨拶をしてまわる姿はあまりに儚げだった。

「シャワー浴びてこい。俺、ついてるから。」
「・・・はい」

彼女はおばあちゃんの遺言だと、家族葬を選択した。
夜になり、弔問者がいなくなると、静かな空間に俺と彼女の二人きりになった。

明日は告別式がある。
彼女を今夜は少しでも休ませたい。

先にシャワーを浴びて喪服から着替えた俺はおばあちゃんの横に力なく座りこむ彼女に声をかけた。
彼女はふと俺の方を見た。

「そばにいてくれてありがとうございます。」
何言ってんだよ。あたりまえだろ。離れるわけないだろ。
言いたい言葉をすべて飲み込んで俺は彼女を抱き寄せる。