あなたの左手、 私の右手。

「同じ女性だから一緒に組もうかと思ったんだけど、諸事情があってできなかったの。ごめんなさいね。黒谷君にはあなたが必要だと思って。」
どうして私が黒谷先輩に必要なのか気になりながらも礒倉先輩に促されて私たちはペアの先輩と後輩で横一列にならんだ。

「私たちは今日から同じチームだから。頑張りましょうね。」
「はい」

イベントフロアを見渡す。

ここから新しい私の毎日が始まる。

少し前まではこうして仕事につけるなんて思っても見なかった。

いつの間にか止まってしまっていた私の時計が動き出したように感じながら、これから始まる新しい日々に少しの不安と、大きな期待を感じながら、私は隣に立っている黒谷先輩を見上げた。

「よろしくな」
「よろしくお願いします。」
背の高い先輩が私の方を見ながら微笑んでいた。

きりっとした端整な顔に浮かぶ優しい笑顔に、思わずギュッと心臓を握られているような感覚を覚える。

惹きつけられる・・・
不思議な感覚を覚えながら、私は先輩に向かい頭を下げた。