あなたの左手、 私の右手。

「まだ、時間はある。たっぷり。俺たちには時間がある。だから、一歩一歩進みたいんだ。俺たちの関係に名前がなくても、俺の気持ちは変わらないし。ゆっくり進めればいい。」
アッという間に口に入れたおにぎりを飲み込んだ先輩が言う。

私の過去を知った先輩なりの気遣いもあるのだろうと思う。
人とほとんど関わらずに過ごしていた2年間は人生の中でも私にとっては長い時間だった。
その時間から、闇から私は抜け出したばかりだ。

社会人としてちゃんと進みだしたのもつい最近だ。

おばあちゃんとのこともうまくバランスが取れず今回みたいにがむしゃらにはいかないこともある。
不器用な私の性格を知っているから、先輩はそう言ってくれているのだとわかる。

「一緒に歩く道のりはこれからの人生、まだまだ長いからさ。でも俺の気持ちだけはまっすぐに、伝えたいと思った時に、言葉にしたかったんだ。」
先輩の過去も、私はちゃんと一緒に背負いたいと思った。