あなたの左手、 私の右手。

『じゃあ、切るな。』
「はい」
『明日も無理はするなよ?』
「はい。」
『じゃあな』
「先輩」
『ん?』
「ありがとうございます。」
一瞬、間があったあとに電話の向こうで先輩はふっと笑った。

『そこ、大好きーとかやろ』
小さな声で言う先輩。
目を閉じると、電話の向こうで先輩が会社の誰もいない場所でこっそりと電話をしてくれている姿が浮かんで、いつの間にか私も笑顔になる。

「仕事してください。」
『はいはい』
照れて返した言葉に先輩は笑いながらもう一度『気をつけろよ』と言って電話を切った。