あなたの左手、 私の右手。

送信画面が消えた瞬間、着信画面に携帯の画面が切り替わり、私は慌てて携帯電話を落としそうになった。着信画面には黒谷修平先輩の文字。私は高鳴る胸に手が少し震えながら画面をスライドした。

「はい」
『体、大丈夫か?』
「おかげさまでずいぶん楽です。」
『声もましになったな。』
多分会社にいるのだろう。先輩の話し方でわかる。
『今朝まではおかま声だった』
「ひどい」
『おかゆ、ちょっとアレンジしたやつ作ってあるからあっためて食べろよ?水分も新しいやつはいってるから飲んで。』
「・・・はい」
『あんまり調子に乗って動かないように』
「はい」
『なんかあったら連絡しろ?』
「はい」
先輩の声を聞いただけで、それまでの寂しさが吹き飛んでいく。