「いつ・・いつからですか?」
あまりにも突然すぎて、何も予感すらしていなかった私は動揺しながら先輩にそんな質問をする。
もっと聞きたいことはたくさんあるのに、口から出たのはそんな質問だった。

「いつからやろうな。俺もわからん。でもきっと、出会った電車の中から気になってて、一緒に出張に行った時には好きだったんやろうな。」
「・・・」
今までのことをぐるぐると頭の中で思いだす。
「わからんわ。自分の気持ちなんて言葉にできるもんやないし。すべては感覚やな。これは。」
パニックになったままの私の頬に手を触れる先輩。

あまりにも優しい瞳に、なぜか泣きそうにすらなる。

「パニックにもなるよなー。困らせてごめんな。でも俺、こういう気持ち黙っていられるような奴じゃないからさ。ごめん。言っちゃった。」
高校生かと突っ込みたくなるような先輩の言葉と表情に、私は思わず笑ってしまった。

「別に俺は今すぐ赤名の心が欲しいとか、どうこうなりたいなんて思ってないんや。もちろん、そうなれたら幸せやろうなとは思うけど、無理に気持ちを押し付けるつもりもない。ただ、覚えといてほしい。俺は赤名が大切で、頼られると嬉しいしもっと頼ってほしい。」
まっすぐな言葉に嘘偽りがないことなどすぐにわかる。